あなたに夢中。Ⅱ (ページ30)

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you side

しゃあないし、康二くんには洗いざらい話すことにした。内部の人間やし、言うても大丈夫やろってことで。

予想通りの反応すぎて笑いが止まらんわたしと小島くん。過保護な康二くんなら、こうなると思ってたわ。

向「俺の大事なAになんちゅうことするんやほんま！」

「まだなんもされてへんから大丈夫ですよ？」

向「ストーカーもやけど、小島もや！」

小「え、俺？」

向「嫁入り前のAと一緒に住むなんて許せへん！でも今回ばっかりはありがとう！」

「えらい不安定やな」

向「わかってると思うけど、手ぇ出したらあかんよ！？」

小「出すわけないでしょ、寝顔めっちゃブスやもん」

「小島くんダル」

向「え、なに？寝室一緒なん？」

「一緒ですねえ」

向「許さん！お父さんは許さんよそんなん！」

康二くんは怒りながらも「でもありがとう！」と何度も言って、電話が終わった。

もし康二くんが大阪にいたら、それこそ「俺が住む！」って言い出すんやろなあ。さみしがり屋さんやしウィンウィンやもん。

「康二くん元気そうやったな」

小「元気すぎなくらいよ。風呂入ってきたら？」

「おん、行ってくる」

脱衣所で服を脱いでいると、ふと歯ブラシスタンドが目に入った。

わたしの黒い歯ブラシの隣に並んだ、紫色の歯ブラシ。そしてその横にある、オレンジ色の歯ブラシ。

いちおうメンバー全員分の歯ブラシがあるけど、よく泊まりに来る人のは前列に置いてある。

誰かと暮らすなんて無縁やと思ってたし、なんも変わらんと思ってたけど、4日目にして実感が湧いてきたというか。

ちょっとだけ、「新しい部屋見つからんかったらええのに」なんて。ストーカーおるのに呑気なこと考えてしまった。

もしかして、一緒に住んでるのが小島くんやからなんかな。

「あー気持ちよかった」

小「おまえ風呂長すぎやろ」

「だって気持ちええんやもん」

スマホをいじる小島くんがこっちを見たと思ったら、なんというか…怪訝な顔をしてる。

「なに？」

小「なんで服着てんの？」

「なんでって…気分？」

小「気持ちわる」

「は？」

たしかにいつものお風呂上がりはナイトブラとショーパンとかで。暑くてとにかく服を着たくない。

でも今日は、おっきめのロンTをちゃんと着てる。

「2人で住んでる」っていう自覚ができたなんて、絶対に言うたらへんからな。

(たまには男として見たるわ)