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Yoshinori side
しよおもたら、できる。
俺が前にAに言うた言葉は、ほんまにそのとおりで。あと20cmくらい俺の顔を下げれば、Aにキスすることができる。
でも、ほんまにしてしもてええんやろか。
俺はなんでこんなにも理性的なんやろう。
きっと俺以外のメンバーなら、もうしてしまってるやろうに。
ほんまは、今まで何回も諦めようとした。ライバルは誠也くんだけやと思ってたから。誠也くんとなら、って。
「俺、Aに『大切なのはおまえだけ』って言うた。『好き』って言う資格は、俺にはまだないから」
大晴が俺にそう言った、今年の春、あの騒動の後。あの日から、俺は自分の感情を抑えられへんくなった。
「絶対におまえより早くAに好きって言うたるからな」って思った。
「諦める」って言うてる時点で、きっともう手遅れなんや。
正「好きやで、A」
寝顔に向かって、そうつぶやく。俺には「好き」って言う資格はある。でも面と向かって言えへんのは、「Aのことを困らせたくないから」なんて言って、この子のせいにする。
ほんまは俺が臆病なだけやのにな。
考えるの、疲れてきた。かろうじて空いてるAの隣に横になることにした。
正「あーあ、リアコってなんなんやろ、も〜」
大きなため息と一緒に出た盛大な独り言にツッコミを入れるように、寝返りをうったAの腕が俺のおでこを直撃した。
「正門くん！わたしがこないだ映画観てる途中に爆睡したこと、関バリで言いましたね！」
正「ごめんて。でもほんまよう寝とったから。ライダースは無事やったけど変な寝相やったし」
末「おまえこないだブログに自分で書いとったやん」
「そうですけど！自分で言うのと正門くんに言われるんとはまたちゃうんです！」
正「え、なにがちゃうの？」
「正門くんの口から言われたら、『こいつ正門くんの前でもそんなんなん！？』って思われそう。正門担に」
だって、正門くんはみんなの彼氏やないですか。
(そのうるさい口、いつか塞いだるからな)
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作者名：リリー | 作成日時：2021年6月18日 22時
