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you side
帰り道の車内では、大晴くんと晶哉くんが新ギャグについて話したりしていて、ちょっと安心。
晶哉くんは、きっとなんか相談したいことがあるんやろうな。「ごはん行きませんか」なんて、初めてのことかもしれへん。
いつもなら「俺も行く」と言う小島くんも、今日はなんにも言わんかった。
佐「おじゃましまーす」
「どーぞ！おなかすいてるやんな？パスタでいい？」
佐「やった！Aちゃんのごはん、おいしいからなあ〜」
やっぱりかわいい、うちの最年少。
今日は晶哉くんが成長できた日やから、特別な日に食べようと思ってたカニ缶を使ったパスタにしちゃおう。
2人でごはんを食べながら、昔のRIDE ON TIMEを観た。康二くんと室くんを送り出して、関ジュがまた1歩進んだ日。
あの日、小島くんに言われた「おまえはどこにも行くな」。
そして、今目の前にいる晶哉くんの、少し曇った表情。
「晶哉くん、わたしこんど、ROTで取り上げてもらうことになったらしいで」
佐「えっ？ていうかなんでそんな他人事なんすか」
「うーん、まだサラッとしか聞いてへんから、実感ないんよね〜。明日の朝あたりにメンバーにもお知らせあるんちゃうかな？」
佐「…それって、紅一点やから取り上げられるってことですよね」
「そうみたい。わたしが取り上げられるってことは、もちろん晶哉くんたちも映ることになるし」
Aぇの名前売るチャンスやなあ！
そう言おうとしたら、カチャ、と晶哉くんはフォークを置いた。
そして、まるでわたしの心の奥底に入りたがるように、わたしの目をじっと見つめた。
佐「Aちゃんは、いつも元気で明るくて優しいじゃないですか」
「そう？」
佐「たまに怖いし、オッサンみたいなときもあるけど」
「オッサンみたいなとき…？」
佐「無理、してないですか」
「まあするときもあるけど、普通の社会人くらいの無理しかしてへんのちゃうかなあ」
佐「僕は今日、焦りとか不安とかでイライラして、大晴くんに当たりました」
「おん」
佐「Aちゃんは、女の子ってだけで僕らの何倍も注目されて、僕らの何倍も敵が多いやないですか」
「んー、そうね。それは事実やね」
Aちゃんの「辛い」とか「悲しい」は、どこに行っちゃってるんですか。
真っ直ぐとこちらを見る、切れ長の目。なんか、大人っぽくなったな、晶哉くん。
昔、康二くんにも同じこと聞かれたっけ。
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作者名：リリー | 作成日時：2021年6月4日 19時
