あなたに夢中。Ⅰ (ページ6)

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Taisei side

晶哉が思い悩んだ顔してこっちに来たかと思ったら、なんやそういうことか。

福「んー、なんでやろ？呼びやすいからちゃう？『ふくもとくん』より『たいせーくん』のほうが言いやすいやん」

佐「ほんまにそれだけっすか？Aちゃん、大晴くんの話になったら急にはぐらかしたんですよ。しかも『お願いされたんちゃう？』とか言うて、誠也くんのは覚えてたのに、なんかおかしい」

あー、あいつほんま嘘つけへんなあ。

福「お願いした記憶はある！それでちゃう？」

佐「ほんまに～？じゃあ小島くんにも聞きますわ！」

ちらりと小島のほうを見ると、自分の名前が出たことに反応したのか目が合った。

小「お願いしたのもあるやろし、みんなが『たいせー』って呼ぶから、よけいに言いやすかったんちゃう？」

小島の言うことには謎の説得力があって、たしかに小島のことを「健」って呼ぶやつはおらんし、リチャくんのことを「草間」って呼ぶやつもおらんわけで。誠也くんのことはだいたいみんな「誠也くん」やし。

意外とあっさり納得した晶哉は、「たしかにそれはあるかも」と言って柔軟を始めた。単純に飽きただけかもやけど。

小「福神漬も大変ですねえ」

福「なんやねん大変って」

小「でもまあ、ほんまになんもないわけやし、ええやん。ひとまず」

うわ、嫌な言い方。こいつわざとやろ。

そう、なんにもない。俺とAはメンバー同士で、同い年やから小島と3人でよく遊んでて、「福神漬」って呼ばれてて、ちょっと人気のあるコンビなだけ。

末「A！俺のいちご大福食べたやろ！」

「ええ、そんなん知らんでわたし」

末「あごに粉ついとんねん」

「これはフェイスパウダーです。24時間つけててもいいんですよ、めっちゃ便利」

末「おまえほんま嘘へたくそやな！」

彼女は嘘がへたくそ。そんなところが、俺の心を掴んで離してくれへん。

福「俺が言うたのは、『好きなように呼んで』やねんけどなあ」

(ちょっとだけ先を行ってるって、信じてもいい？)

.......

作者です。
また改めてご挨拶させていただきますが、その前に…

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