あなたに夢中。Ⅰ (ページ31)

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くちびるの記憶（S.S）ページ31

you side

「おはようございます～」

いつもの挨拶をしながら男塾収録前の楽屋に入ると、まず聞こえたのは挨拶ではなかった。

バサッバサバサバサッ

ガサガサガサッ

ジーーーーーー

末「おはようA」

「いや、思っくそなんか隠しましたよね」

末「なに言うてんの」

「リュックのチャック閉める音まで聞こえてましたよ」

末「俺やない」

「俺しかおらんのよ、今ここには」

いやもう、何をしてたかわかるって。アラサー思春期め。

「買ってくれたんすね？」

末「なんの話しやろ」

「買ってくれたんすよね！わたしのあんあん♡」

わたしのインタビューが載っている『an・an』が今日発売された。いつかは全員ででも単独ででも、表紙やらせてもらえたらいいなあ。

でも、まさか単独で6Pも載らせてもらえるとは思ってへんくて、めっちゃうれしくて。

6人にプレゼント、いや押し付けようと思っていっぱい買ったのに、聖夜様さすがやわあ。

末「ちゃう！俺は特集目当てで買うてん！」

「誠也くん、欲求不満なん？それともマンネリ？」

そう、わたしのインタビューが掲載されたのは、かの有名な夜にまつわる特集。

まあ、夜にかぎらずやけども。とか言うて。

「なあなあ、見た？見た？わたしのあんあん♡」

末「おまえそれやめろ」

「やってうれしいんやもーん」

末「おまえのあんな姿見てもなんも思わんわ」

「まあ見慣れてますもんねえ」

末「でもちょっと肌出しすぎちゃう？」

「そうすか？天下のあんあんやからこれくらいせな」

末「下着姿ならまだしも、バスタオルやん」

「下履いてるだけマシちゃいます？」

てっきり大人でセクシーなシチュエーションかと思えば、わたしに用意されたのは“明朗な美、目覚める情欲”というテーマ。

お風呂上がりのシチュエーションで、髪は濡れたまま、バスタオルを巻いただけの姿で水を飲んだり、わりと素っぽい状態での撮影やった。メイクも最低限やったし。

お気に入りは、上裸にバスタオルを首からかけて、下はラフなショーパン1枚で、ペディキュアを塗ってるやつ。

わたしのプライベートが雑誌に載ってるみたいで、なんか変な感じなんよね～。