ハート泥棒 ２

ハート泥棒 ９７ ページ47

V「ふふふん♡」

貴「何笑ってんの」


Aさんが署でグロスを付けなかった理由。

それは、


V「１番は俺に見せたかったんでしたっけ？♡」

貴「…うるさい」


久しぶりのデレである。

あーかわいい。綺麗。好き。愛してる。


貴「別に最初は誰でも」

V「良くなかったくせに」

貴「…」


少しだけ口を尖らせて注文したメニューがくるのを

頬杖つきながら待つAさん。

いつもより少しだけ高めの外食。


V「今日は俺が奢りますね」

貴「グロスも貰ったのに悪いわよ」

V「良いんです。退院祝い」

貴「…ありがと」


奢るのは今日が初めて。

絶対にいつも割り勘だったからね。

…少しだけ嬉しいな。

ちょっと待てば、黒いエプロンを付けた店員が、

トレーを持ってやってきた。


店「小エビとモッツァレラのクリームパスタと、
マッシュルームのトマトパスタです」


オシャレに盛り付けられた赤と白。

パスタが大好きなAさんの為に、

一昨日予約しておいたお店。

目の前には幸せそうに眺めるAさんがいた。


V「食べましょっ」

貴「うんっ、いただきます」


色々な人からの口コミは評判良かったこのお店。

高級すぎない雰囲気で、でも美味しい。


貴「幸せだ…」

V「３６５日パスタでも良いんじゃないですか？笑」

貴「どうしよう、そうしようかな」


まじめに考え始めたAさん。

何故だか面白くて、つい吹き出してしまった。


V「毎日はやめましょうよ笑」

貴「だって美味しいじゃん」

V「これからパスタ屋巡りでもします？」

貴「お、いいねそれ。採用」


指をパチンと鳴らして嬉しそうな顔。

これから毎日お昼はパスタだろうな笑笑

でも、嬉しいから良いや。


V「こっち食べます？」

貴「うん、貰おうかな」

V「はい、」


あーん。なんてすれば、

Aさんは一瞬固まって、一気に顔が赤くなった。


貴「公共の場なんだけど」

V「誰も見てませんよ」


少しだけ周りを気にしながら、

俺のトマトパスタを一口。


貴「恥ずかしくて味わかんない…」

V「もう一回食べます？」

貴「いいよもうっ」


赤い顔を少しだけ隠して、また食べ始める。

周りの男共が惚れたように魅入ってるから、

少しだけ睨んでシッシッと払っておいた。

すみませんね、俺の恋人なんで。


貴「テヒョン」

V「ん？」

貴「私幸せだっ」

V「ははっ、そうみたいですね笑笑」


歯を見せて笑った貴女を見た俺も、

これ以上ないくらい幸せですよ。

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