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ハート泥棒 90 貴女side ページ40

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夢見心地とは、

今の私の状態を言うのだろうか。

いや、夢見心地というよりも、

これは正しく『夢』である。


貴「どこだ」


目を覚ました先には、一面花畑。

その向こうには綺麗な川が流れており、

それが三途の川だと気が付いた。


貴「死んで…はいないか」


まだ川は渡ってない。

だから、今私は仮死状態なのだろう。

その時ふと、視界に人影が見えた。


?「どなた?」


視界に入った人影は、

聞いたことのある声で私に問いかける。

すぐさま私は振り向く。


貴「…え」


花畑に佇む人影。

聞き覚えのあったその声の持ち主は、


貴「何でここに…」


私がストーカー被害で悩んでいた時の女警察官。

そして、ストーカーに殺されたあの警察官だった。


女「あら、久しぶりね。何年振りかしら?」


花畑に腰を下ろす女性。

「先輩」とでも呼んでおこう。

先輩は、座ってと自分の隣をポンポンと叩いた。

私は素直に座る。


女「本当はこんな所で会うのは嫌だったんだけど」

貴「…すみません」

女「きっと貴女は交通事故でもなく、病気でもなく
警察官として亡くなりそうなのね?」

貴「多分…」


久しぶりに見た優しい顔。

私が唯一憧れた人の優しいあの笑顔。


女「まぁ、ゆっくりして行って」

貴「いや、でも待ってる人が」

女「そんな人が出来たのね。安心した」


本当に私は、この人に助けられたんだと、

今の言葉で確信した。


女「でもね、自分では帰れないのよ此処。
帰りたいと思う気持ちと、帰ってきてほしいという
下界の人たちの心がリンクしないと」

貴「はぁ…」

女「そのうち帰れるわ」


そう言いながら花を触る先輩。

少し気になった事を聞いてみた。


貴「何で、先輩は此処に居るんですか?」

女「何で?って?」


先輩は少し悩んだ素振りをして、

私に顔を向けた。

見惚れてしまうほど、優しい儚い微笑みで。


女「貴女の同期がいるはずよ」

貴「…アイツか」

女「アイツなんて呼ばれてるのね笑
私もアイツって呼んじゃおうかしら」


それがどうしたのだろう。

今このタイミングでアイツが出てくるなんて。


女「私ね、アイツと付き合ってたのよ」

貴「………………はい?」


昇天間際で衝撃事実。

あの男が?貴女と?なんて言ったら失礼か。

でも、私は言葉が上手く出ない。


女「年の差はあるんだけど、好きだったのよね」

貴「は、はぁ」

女「でも私、死んじゃった」


そういう先輩は、苦しそうに微笑んだ。

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設定タグ:キムテヒョン , V , BTS   
作品ジャンル:ラブコメ
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刹那(プロフ) - ゆきさん» そう言ってもらえて嬉しいです!読んでくださってありがとうございました! (2019年2月16日 14時) (レス) id: c8b3225801 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 終わりなのがもったいないです!!!楽しかったです! (2019年2月16日 11時) (レス) id: db83038336 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 21世紀少女さん» ありがとうございます!ファンなんて!嬉しいです!全話見てくれてるなんて嬉しすぎます!これからも頑張りますね! (2019年1月8日 23時) (レス) id: c8b3225801 (このIDを非表示/違反報告)
21世紀少女 - コメント失礼します、!刹那様の作品全部読ませていただきました、もうとてもとてもストーリーの構成から結末への持って行き方までドキドキハラハラで本当に目が離せません、!勝手にファンになりました(( 今回の作品も大好きです、!更新楽しみに待ってます! (2019年1月8日 20時) (レス) id: 97ebd3570d (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - primavera2525さん» そう言っていただきありがとうこざいます!更新頑張りますね! (2019年1月6日 13時) (レス) id: c8b3225801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2018年12月8日 20時

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