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ハート泥棒 86 ページ36

何度問いかけても、

Aさんは荒い呼吸をするだけ。


V「嫌だよAさんっ…」


死なないでよ。

俺を置いて行かないで。

居なくならないって前言ったじゃん。


そんな時、Aさんの手がピクリと動いた。

薄く瞼を開けてゆっくりと俺の頰に手を当てる。


貴「テヒョン…泣いてるの?」

V「な、泣いてなんかっ」


頰に当たっている手は思ったより冷たくて、

それを温めるために俺はその手を握った。


貴「ねぇ、テヒョン」

V「はい、はいっ」

貴「…デート行きたかったね」


少し微笑みながら言うAさん。

苦しそうな声で、目には涙が溜まっている。


貴「色々な所に行って、色んな物食べて。
いっぱい貴方と話したかった」

V「やめて、そんなこと言わないで」


そう俺が話を遮れば、

Aさんは悲しそうに目を細めて頰をなぞる。


貴「…テヒョン」

V「…」

貴「私、貴方を愛してるの」


俺だって愛してる。

もうこれ以上愛せないくらい愛してます。

だから、だから


V「行かないでよっ。居なくならないって
Aさん言ったじゃん!あれ嘘なんですかっ」

貴「…そうね、嘘だったのかも」


そう言うAさんの目から、

ゆっくりと涙が流れていく。

それを指で拭った。


貴「大好きよテヒョン」

V「…ッ」

貴「…私ねっ…貴方だけは置いて行きたくないっ」


流れ始めた涙は止まらない。

優しく拭っても次から次へと流れてくる。


貴「貴方はきっと私が居なくても大丈夫、そう心に
言い聞かせてるのにっ。私が大丈夫じゃないのっ。
テヒョンの隣に立てない事が辛いのっ」

V「俺だって嫌ですよっ」


自分の目から溢れる涙を拭った時だ。

後ろからバタバタと走ってくる音が聞こえた。


JK「ヒョンっ!解毒剤ですっ!」

RM「あったのか!」

JK「ありました!」


解毒剤…?…解毒剤って。

それがあればAさん助かるんじゃ。


ジョングクが大きな箱を抱え、俺の隣へ。

Aさんの容態を見て、少しだけ眉を顰めた。


JK「Aさん、今から解毒剤打ちますね」


静かに頷くAさん。

ジョングクは手際良く注射器に解毒剤を入れる。

ホソギヒョンやナムジュニヒョンがやって来た。


JH「今救急車来ますからっ」

貴「…そんな焦んなくても良いのに笑」


そう笑うAさんの腕をジョングクは持って、

ゆっくりと針を刺す。


減っていく液体が、Aさんを助けてくれる。

そう思えば、不安だった心が少し楽になった。

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設定タグ:キムテヒョン , V , BTS   
作品ジャンル:ラブコメ
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刹那(プロフ) - ゆきさん» そう言ってもらえて嬉しいです!読んでくださってありがとうございました! (2019年2月16日 14時) (レス) id: c8b3225801 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 終わりなのがもったいないです!!!楽しかったです! (2019年2月16日 11時) (レス) id: db83038336 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 21世紀少女さん» ありがとうございます!ファンなんて!嬉しいです!全話見てくれてるなんて嬉しすぎます!これからも頑張りますね! (2019年1月8日 23時) (レス) id: c8b3225801 (このIDを非表示/違反報告)
21世紀少女 - コメント失礼します、!刹那様の作品全部読ませていただきました、もうとてもとてもストーリーの構成から結末への持って行き方までドキドキハラハラで本当に目が離せません、!勝手にファンになりました(( 今回の作品も大好きです、!更新楽しみに待ってます! (2019年1月8日 20時) (レス) id: 97ebd3570d (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - primavera2525さん» そう言っていただきありがとうこざいます!更新頑張りますね! (2019年1月6日 13時) (レス) id: c8b3225801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2018年12月8日 20時

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