ハート泥棒 ２

ハート泥棒 ６８ ページ18

貴「…」

容「…」


２人とも睨み合って何も言わない。

この状態が、かれこれ１５分続いている。

マジックミラーの部屋に入って観察中。

…あ、Aさんがイライラしてる。


貴「はぁ…」


ずっと頬杖をついていたAさんは、

呆れたように溜息を吐いて口を開いた。


貴「何であの５人を狙ったの？」

容「…」

貴「また黙るのね」


Aさんが片眉を上げるのは苛立っている証拠。

こんなに感情を露わにするのは珍しい。

その時、ドアノブをカチャリと鳴らして、

静かに部屋に入ってきたのは、

俺の天敵チョンジョングク。

ペコッと俺に小さく頭を下げて隣に立った。


JK「何か進展ありましたか？」

V「特に無い」

JK「そうですか」


俺の目も見ずに答えるジョングク。


JK「１週間程前の事件の報告書を見ました。
やっぱり医師になる寸前の５人っていうのが、
引っかかります。金目当てか、他に何かあるのか」

V「お、おう」


え、なんか俺すごい負けた気分。

いや勝ち負けなんか無いんだよ！？でもね！？


JK「本人に聞かなきゃ分かりませんよね」

V「そうだな」


自分の焦りが現れないように、

目の前のAさんを眺める。

そして、部屋にあるスピーカーから聞こえたのは、

とっても驚くべき言葉。


貴「黙るなんて…」

容「…」

貴「弱虫笑笑」←

容「あ"？」

貴「ずっと黙ってるなんて本当に子供。
自分の罪がどんどん重くなってくことに対して、
何か思わないのかしら？」


Aさんはどんどん容疑者のことを煽っていく。

そりゃあもう凄いと思うくらい。

実際俺が言われてるわけじゃ無いけれど、

俺は思いっきり耳を塞いだ。

こんなの聞いてたら命が保たない。

隣のジョングクは平気そうだ。

…あ、いや、固まってるだけだった。←


容「り、理由は言われてない！！」

貴「それだけ？」

容「ただ５人の顔写真がプロフィールが送られて、殺せと言われただけだ！もうやめてくれ！」


そう言って額を机に付け、耳を塞ぐ容疑者。

わかる。そうしたくなるの。

やっと俺も耳から手が離せたんだ。


JK「俺よく保った方ですよね」

V「今日寝れる？」

JK「…無理っぽいです。ははは」


ジョングクさーん。生きてるー？

目が遠くなってるけど大丈夫ー？




JK「というか、平気なんですか？」

V「何が？」

JK「容疑者と２人きりですけど」

V「…」

JK「すみません俺が悪かったです。
殺人を犯しそうな顔で部屋から出ようとしないで」

ハート泥棒 ６９ 貴女side→←ハート泥棒 ６７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す