しをうけいれて ページ5
今日は彼女の命日。私は一人花屋へと足を運んでいた。
命日に、薔薇を手向けるため。
せめて、彼女が安らかにいられるよう願う為。
彼女が亡くなってから３年間、違う花を手向け続けた。
一回忌は青色の薔薇、二回忌は紫色の薔薇。
三回忌である今年は、彼女が私達の記憶から消えないよう、願う事にした。
彼女の命を奪った、恐ろしい通り魔事件は、もう世間の話題には登らない。でも、私達一部の人間には末永く、残り続ける。
あのような事件を、もう起こしてはいけない、ヒーローとして。起きて欲しくない、一人の人間として。
そんな思いを込めよう。
花屋でドット柄の薔薇を買い、彼女の墓へと向かう。
行く途中で、彼女の幼馴染である瀬呂くんと出会った。
「お久しぶりです、袴田さん。」
『久しぶり、瀬呂くん。』
彼は雄英の生徒、私の後輩にあたる人物。1年で敵との戦闘を体験し、勝利した。
私としては、育って欲しい雛のような少年だ。
彼とは雄英や、彼女との思い出を話しながら彼女の墓へ向かう。
彼は、赤い薔薇の葉とオレンジ色の薔薇を持って来ていた。
二人で墓に薔薇を手向け、手を合わせる。
彼女には親戚がもういない、唯一の親戚である両親は彼女が10歳の頃に敵との戦闘で亡くなった。
それから2年間、彼女の両親とは仲が良く、彼女を知っていた私が育てた。
幸せはいつか終わりが訪れる、形あるものは何時かは壊れる。
それがあの日だっただけ。
私達はこれからも彼女を忘れない。
毎年薔薇を手向けに来るだろう。
それは、私達が彼女に出来る、唯一の弔いだから。
《ドット柄の薔薇･･･君を忘れない》
《青色の薔薇･･･夢叶う、奇跡、神の祝福》
《紫色の薔薇･･･誇り、気品、尊敬》
《赤い薔薇の葉･･･無垢の美しさ、あなたの幸福を祈る》
《オレンジ色の薔薇･･･無邪気、絆、魅惑、信頼》
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黄泉切 愛芽梨(プロフ) - 留伊香さん» 閲覧ありがとうございました！そう思っていただけて幸いです。 (2018年6月16日 0時) (
レス) id: 48e698486d (このIDを非表示/違反報告)
留伊香 - 素敵なお話をありがとうございました｡ (2018年6月13日 18時) (レス) id: 4f48e51d3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄泉切 愛芽梨 | 作成日時：2018年4月25日 23時
