魔法の日記【宮侑】 (ページ25)

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ボロボロのTシャツが血まみれで、手には包丁

ふらふらとした足取りで近付いてくる

それから逃げようと扉に手を伸ばすと今度は開いた

「逃げるで！！」

侑は私の手を取って全速力で逃げる

必死で前を走る侑を追いかける

渡り廊下を渡って北校舎の生物室に辿り着いた

『こ、こわかった』

「ガチすぎるやろ！？」

『うぅ、やっぱ無理かも…』

「大丈夫やから、ほら手ぇ出し」

めそめそする私に左手を差し出す侑に右手を乗せる

侑はその手をギュッと握り返してくれる

「次どこや？」

『美術室か地学室のどっちかにあると思う』

「ん、行こか」

手を繋いだまま、近くの地学室に向かう

地学室にアイテムはなかったが美術室に行くと回収できた

すると廊下から叫び声が聞こえて声がこちらに近付いてくる

そして何かが彼らを追いかけている音がする

自分が見つかるかもしれない、追いかけられるかもしれない恐怖で侑の手を握力の限り握る

「隠れるで」

私の腕を引っ張り、絵を乾かす棚と棚の間に入り込む

体と体がぴったりくっつく

体格差的に侑が私を囲い込むように腕を回している

侑の匂いに包まれる

侑のとくとくと少し早い心臓の音が聞こえる

「近いな」

『やな』

すると教室の前をずるずると何か引きずる音がする

侑は私をそれから隠すようにさらに抱き寄せる

さっきよりも早い鼓動が聞こえる

私は降ろしていた腕を侑の背中に回す

とっくに外のナニカはいなくなっている

…ずっとこのままがええなぁ

「…最後の探し行こか」

抱きしめられる圧迫感から解放されて

侑が教室を出ていく

ヒントを頼りに最後の教室でアイテムを回収する

出口を目指して2人で歩く

タイムは27分

たったの27分…

ほんのちょっとの時間なのに胸がこんなにも高鳴る

「おつかれ」

『おぉ、黒須監督どーやった？』

「なんか、うん、、うん」

「察するわ」

げっそりとした倫太郎も合流し

全部のペアが帰ってきたところで肝試しは終了した

私と侑のペアは3位でバボちゃんのキーホルダーをもらった

自分の荷物を持って、学校から出る

濃い1週間だった…

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