魔法の日記【宮侑】 (ページ20)

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合宿２日目の朝、部員よりも早く起きて朝食の準備を始める

朝だけは一から作らなければいけないのだ

お米も炊けて、お味噌汁も出来上がり、おかずをよそっていると

北さんや3年生が食堂に入ってきた

北さんと今日のメニューの最終確認をしていると、流れで3年生と一緒に朝食を取ることになった

「ほんま、遅くまでジャグ洗って、朝早くから飯作ってくれて、ありがとぉな」

「昼間も暑いやろし、無理せんでな」

「せやせや！なんかあったら助け求めぇな！！」

「マネ業だけやなくて、人間関係でもやで？」

『3年生の包容力……』

「あ、アランが泣かした」

「なんっっっで俺やねん！！！」

3年生の優しさにふざけて泣き真似をする

3年生もそのノリにふざけて乗っかってくれる

その日から３日はたっただろうか、合宿４日目

日記に書いたことがそのまま反映さるてるのか

合宿はうまくいき、侑とは話せないまま

それでも同じ空間にはいるのでなんとももどかしい

そして、ひとつ悩みがあるとすれば

「Aのドリンク美味しい」

「いつものポニテも可愛いけど、昨日のおさげも好き」

「自主練付き合ってくんない？」

倫太郎である

侑と話さなくなったかと思えば、倫太郎と凄く話すようになった

休憩中も、練習終わりも夜の自由時間も

別に嫌じゃないし、寧ろ話していて楽しい

けど、侑に倫太郎と話してるところを見られるのが嫌だった

「お風呂出て就寝時間までちょっと話そうよ」

『仕事して、お風呂入ってからやからちょっと遅くなるで？』

「うん、大丈夫。中庭のベンチで待ってるから」

仮にも人を待たせてるので、仕事もお風呂もダッシュ

全てを終わらせ、ベンチに向かう

まだ、倫太郎の姿は見えずベンチに座って待つ

お風呂上がりのほてった体が夜風に当たって気持ちいい

「あれ、思ってたより早かった」

そう言った倫太郎は私の頬に冷たいペットボトルを当てる

『ひゃぁ、』

「あげる」

もらった炭酸ジュースを半分くらい飲んだあたりで

就寝時間が近付いたので、ベンチから立ち上がる

『部屋戻ろっか』

「…A」

『ん？』

「侑のこと、どう思ってる…？」

『え、侑？？どうって？』

「あーー、やっぱなんでもない戻ろ」

一瞬、バレたのかと思った

どきりと心臓が動いた

「……」