魔法の日記【宮侑】 (ページ12)

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女の子たちは急に後ろに現れた背の高い男に驚いたようでそそくさとどこかへ行ってしまった

「なんやその面」

侑が指してるのは、倫太郎のお面だろう

黒に金や赤がところどころ入っていてかっこいい

「いーでしょ、はいこれ」

倫太郎は左手に持ってたもう一枚の面を私に差し出す

倫太郎の狐の面と同じように、顔半分が隠れるもので

白にピンクや銀の装飾が描かれてる

片耳には鈴も

「おそろい」

それは私に買ってきてくれたものらしく、私の手に置いてくれた

『え、わるいよ』

「いーじゃん、思い出思い出」

「な、角名ァこんにゃろ！！！」

「侑なんかほっといてもどろー」

お面を右横につける

倫太郎が差し出した左手に自分の右手を添える

その手は大きくて、骨ばってて、熱かった

「角名ぁぁぁぁぁああ！！！！」

「侑うるさい」

そう言うと、手は離れてしまった

『ただいまー』

「おかえりー何やその面かわええなぁ」

「角名もしとるやん、おそろいか？」

「そそ」

「ツムええん？」

「ええわけないやろ！！！」

「後で2人で写真撮ったるわ」

『ありがと』

「ぎんんんんん！！」

『侑くん、さっきからうるさいで』

「みつばちゃぁぁぁん」

ﾋｭﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙドドーーーン

私たちの会話を遮るように花火は高く高く打ち上がった

綺麗やな

みんなと、ましてや侑とこんな景色見れるなんて贅沢やな

花火が終われば、周りも撤収ムードで私たちもレジャーシートを片し始める

「社のとこで写真撮ったるわ」

帰り道の波はそこそこで、人でもみくちゃにされる

すると右手が誰かに掴まれる

『侑くん』

「今は2人やから侑や」

『みんなは？』

「先の方いるで、Aがおらんくて焦ったんやからな！」

なるほど、いつのまにか離れてしまっていたらしい

それにしてもこの人混みでよく見つけたな

背も高くないから特別目立たないのに

『よぉ見つけてくれたなぁ、ありがとぉ』

「Aやもん…」

『なんか言うた？』

「角名ら社で待っとるから行くで」

社に着くまで侑とは手を繋いだままだった

倫太郎と手を繋いだ時よりもなんや、ドキドキするな

心臓がうるさすぎるくらい鳴ってる

侑に伝わってしまわんだろうか

『はぐれてしもてごめんな』

「Aがいないってなって侑走ってったしな」

「言うな銀！」

「ほらほら写真撮ろ」