その一言が 【稲荷崎】

31.意味 ページ32

侑side






角「侑！」






Aは救急車で病院まで運ばれ、




着いたら直行で緊急治療室まで連れて行かれた




部屋の前のベンチで待つ事数十分




角名、治、莉乃ちゃん、北さんが来た






侑「角名…サムも、銀も、莉乃ちゃん、北さんまで」


北「Aの一大事にのうのうと練習してられんわ
他の部員も下におる。」


治「Aは？」


侑「集中治療室、思うたより傷が酷くて出血も多いみたいや
後、数時間はかかるって」


銀「いったい、何があったんや」






俺は朝の出来事を事細かに説明した




後ろで聞いていた莉乃ちゃんは




段々と涙目になり静かに泣き出した




他のみんなも悔しそうに




眉間に皺を寄せたり、手を握りしめたり、下唇を強く噛んだ






北「取り敢えず、今日は学校に言って、休むようにして来たんや
やから今日はAが起きることを願おう」






そう言って俺らは、Aを待ち続けた___









__side






__『んっ』


『ん？ここ、は？』






目が覚めれば真っ白な空間にいた




壁もなくて、どこまでもどこまでも続いている






『どこ？私、トラックに轢かれたはずじゃ？

もしや、もう死んだ？？』


_〈違うよ〉


『！！だれ！？』


_〈貴方からは姿は見えないの、まだ死んでないからね
死んだら見えるようになるよ〉






真っ白な空間でキョロキョロしていればどこからか声が




部屋からも聞こえるけど、頭の中でも聞こえる




それに、私の声に似てる…？






『死んだらって、縁起でもないこと言わないでよ』


_〈あら、自分から道路に出たくせに言うじゃん〉


『うっ』


_〈ふふ、ねぇ、目覚めたい？〉


『そりゃぁ、__






"生きたい"






その言葉が出てこなかった




別に死にたい訳じゃないけど、生きたいって




思えない……






『わかんない』


_〈ふーん、じゃあしばらく考えなよ

結果によっちゃ生きれるし、死ねるよ〉


『……』


_〈まっ、ゆっくり考えなよ〉






そう言うと、




声は聞こえなくなった






『生きる、かぁ


そもそも、生きる意味って、


なんだろ


…一生答え出さないで、ここで暮らしてもいいかも』

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