その一言が 【稲荷崎】

16.合図 ページ17

侑side






侑「はぁ〜、この日が1番嫌や」


治「同じく」


角「更に同じく」


銀「あはは」






今日は公開の日




自分で言うのも何やけど




バレー部のファンは多くいる




だが、俺らはバレーに本気な訳で




あんな奴らに邪魔されてたら堪らない




だから、月に一回だけの練習公開の日がある




二階には




ひしめき合う雌豚ども




叫び声もうるさいし




邪魔ったらありゃしない






侑「俺らの練習意欲を削いで何になんねん」


角「こーでもしなきゃ、煩いから」


治「こーしたところで結局、喧しいけどな」


銀「こら、一応応援に来てくれとる奴にそんな事言ったらアカンやろ」


角「とか言って銀も"一応"って言っちゃうあたりこの日嫌いなんでしょ？」


銀「…喧しいのは嫌いやからなぁ」


侑「こんな雌豚どもにゃ適当に目でも合わせたればええねん
ファンサなんてもっての外や！」






喧しい空間にイライラしながらも




活動は行われる




適度に入る休憩でも




タオルはゴワゴワ




スポドリはクソまず




雌豚は喧しい






侑「マジでムカつく」






死(くたば)れや…




は、




え？ちょ、え？？






サーブを邪魔された時並みの苛立ちを覚えたところで二階を見れば




休憩中の俺らをボーッと見とるA…






侑「ﾁｮ！なぁなぁなぁ！！サム！角名！銀！」


治「何やねん、喧しい」


侑「あそこにA居る！！！」


角「え、マジで？」


銀「んー？どこや？」


侑「あのいっちゃん角の女子の後ろで壁にもたれかかっとるの！」


角「ホントだ、Aじゃん」


治「何で来とるん？」


侑「分からん！けどチャンスやと思う！！」


銀「まぁ、そりゃそうやろなぁ
でも、A残っててくれるか？」


侑「ｸﾞｯ、」


角「……取り敢えず、Aに何か合図したら？
"最後まで居ろよ"って」


侑「合図ぅ？……あ、せや」






角名に合図しろ言われたから




ピストルの形をした手を




Aの方に向けた




それに気付いて目が合ったAに




バーンと手を上に上げた




"残っとれよ"






治「うわ、キザ」


角「わー、侑がファンサしてるー(棒)」


銀「うわ、女子ウルサ」


角「侑がファンサなんかするからー
ただでさえ煩かったのに、余計に煩くなったー」


侑「ファンサちゃうわ！！黙っとれ！！」


銀「…A残ってくれるやろか？」


治「A次第やない？」


銀「やな」

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