歩いてきた道と、これからの道と1 ページ10
「…行っちゃったねぇ」
デンライナーの窓から外を眺めるAの声が響く
その視線の先には、蟠りがなくなり仲良く並んで歩く幸太郎と未来の良太郎の姿があった
少しだけ覗けた良太郎の未来は、どうやら明るいものとなるらしい
その事実にAが頬を緩ませていると、隣に良太郎がやってきた
「…なんか、恥ずかしいね。自分がおじいちゃんになった姿を見られるのって」
「ふふ…そう？素敵な年の取り方をしたおじいちゃまだったよ？」
「またAはそうやって茶化すんだから」
良太郎は困ったように笑うと、次いで紡がれたのは謝罪の言葉だった
「ゴメンね…巻き込んじゃって。僕がイマジンに…死郎に攫われたばっかりに」
「私は良太郎くんと…皆と一緒に戦えた事に満足してるよ？なんか凄くない？良太郎くんの過去と未来と…パラレルワールドまで体験しちゃった」
「A…」
「私だって本当は、この時間にいていいかグレーな人間でさ。たまたま、まだ“その時間”が来てないだけで。幸太郎くんと同じで…本来、出会うべき人間じゃないんだよ。イマジンとか、何かの力で“そうならざるを得なかった”って言うか」
いつの間にか時の砂漠の中を走るデンライナー
見渡す限りの荒野を眺めながら、Aはまたポツリポツリと言葉を紡ぐ
「…私は、いつまでこうやって皆と会えるかなぁ。時間に弾かれない限り、こうやって会う事は可能だけれど…この時間はずっと続くものじゃないって事も分かってる。
でもね。皆といて、何年もずっと動かなかった私の時間が少し動き始めた。それは私にとって好機でしかないの。そんなチャンスをくれた皆とは、これからもずっと一緒にいたいと…そう思ってる」
良太郎の問題も
幸太郎の問題も
愛理の問題も
侑斗の問題、も
どれもこれも、ちゃんと決着はついたのだ
いつまでも宙ぶらりんのままなのは、自分だけ
僅かに開いた道は、この先一気に拓けるのか、それとも地道に一歩ずつなのか
見えるようで見えないこの先を、またひとりで進んでいくのはどうしても臆してしまう
“その時”までは、甘いと言われようとも彼らと共にいたいと願ってしまうのだ
「本当に私がいるべき時間…見つかればいいなぁ、皆と居られる間に」
突然忘れられるより、ちゃんと別れができた方がずっといい
たとえ自分の時間が“ここ”じゃなくとも、それならちゃんと“さよなら”が出来るから
かつての良太郎が、モモタロス達にそう願ったように＿＿
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
