始まりの奇跡を目にして4 ページ9
＿＿新しい時間は、始まってる
「良太郎のセンスは泣けるからなぁ。ま、諦めぃ！」
「そんなぁ…」
幸太郎の名前の由来
元来イマイチのセンスを持つ良太郎が、名付けたのがその名前だ
確かに未来で生きる幸太郎にとってはその名前は少し古めかしく感じるかもしれない
だがその漢字や音の響きを見れば、そこにはちゃんと意味があるように見える
最初こそ一緒に笑っていたAも、それに気付くと“良太郎らしさ”に微笑ましく感じた
「…ごめん。じゃあその名前、つけないようにする」
笑われて慌てる良太郎は、不貞腐れる幸太郎に向けて小さく頭を下げる
そんな申し訳なさそうな良太郎に幸太郎はフ、と緩やかに口角を上げた
「…いや、いいよ。今は…いいって気がする」
幸太郎の言葉に、良太郎は笑みを浮かべた
それにつられるように幸太郎も嬉しそうに笑う
少しのズレで誤解し、すれ違っていた2人はようやく仲直りすることができた
ほんの少し、未来が変わったがそれは良い兆しであることは明白で
その事実に食堂車の雰囲気もふわりと優しくなった
「＿＿まもなく、幸太郎ちゃんの時間に到着します」
場が和んだ所で、車内に響いたチャイム音
デンライナーの到着する時間は、幸太郎の生きる時間
次に会うのは＿＿
「…じゃあな、幸太郎」
徐に立ち上がった幸太郎に最初に声をかけたのはモモタロス
リュウタロス、キンタロス、ハナにオーナー、ウラタロスにジーク
それぞれが幸太郎に声をかけ、幸太郎は噛み締めるようにゆっくりと視線を巡らす
そして最後に、その視線は良太郎へと戻ってきた
「…会えてよかったよ。僕たちの時間が、未来にずっと繋がっていくんだって思えたから。って言うか、もう…“新しい時間は始まってる”」
繋がった時間が未来を作る
思いが、願いが、先の未来に受け継がれていく
幸太郎はゆるりと口角を上げると、そっと自身の手を差し出す
その意味を理解した良太郎も笑みを浮かべながら手を差し出した
2人がガッチリと握手を交わした後、幸太郎はドアへと歩み出したが徐に振り返った
「… A、ありがとな」
「え？私、なんかやったっけ？」
突然の感謝の言葉にAは不思議そうに首を傾げる
その様子に笑みを溢しながら幸太郎は言葉を紡いだ
「なんか、言いたくなった。じゃあな」
もう一度食堂車のメンバーを目に焼き付けるように見渡し、笑顔を携えると幸太郎は今度こそデンライナーを去って行った＿＿…
歩いてきた道と、これからの道と1→←始まりの奇跡を目にして3
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
