貴方の名前は2 ページ50
“彼”は存在していた
決して空想上のモノではなかった
ならば、“そう”呼ばれるのもきっと必然
「多分さ。古代の人たちが見たり聞いたりしてきたのって、“カミサマ”本人のことだと思うんだよね。あの人が言うように、人に対して手を差し伸べていたり、時々地上に降りて人との時間を過ごしていたりしていたのなら。“その時”のカミサマの事を見たり感じたりしたんなら。
＿＿その名前はつけられるべくして、つけられた名前なんじゃない？」
カイロス神は『時刻』の神、そしてクロノス神は『時間』の神
彼自身は“名前はない”と言っていたが、そうやって知らず知らずのうちに彼には“名前”が存在していた
本人に直接呼ばれる事のない名前
けれども、確実に彼を象徴する名前
＿＿それが、“クロノス”
「…うん、ピッタリだと思うよ」
「良太郎くん」
「ま…いいんじゃないか？」
「侑斗…」
さらり、と一筋の風が吹く
3人の間を抜けていったその風は心地よく、どこか温かく感じた
「クロノス…うん、クロノスだ。早く帰って教えてあげよ」
「そうだね、喜ぶと思うよ」
「アイツがまさかイマジンと仲良くつるむとはな…」
侑斗の言葉にAは苦笑いを浮かべる
本当だったら、“カミサマ”もこの場にいる予定だった
だが実体を与えられ自由の効くようになった彼は“イマジン”という存在に興味を持ち、さらにはあっという間にその輪の中に入り距離を縮めたのだ
今、この場にいないのは“モモタロス達と過ごす時間の方が楽しいから”、という何とも言えない理由である
「まぁ…うちらには分からないほど長い時間を過ごしてきたあの人にしか分からん感覚よ。楽しいって思えてるんならいいんじゃない？」
「…ふん、変なヤツ」
「その変なヤツと同じくらい、イマジンにどっぷり浸かってるのは誰だろうね？」
「は！？テメ、A！！」
「デネブさん、大好きだもんね侑斗！」
そう言うが否や逃げるように駆け出すAと、それを追いかける侑斗
そして2人の追いかけっこを楽しそうに見守る良太郎
優しい風が、良太郎の頬を撫でる
真実が分かった今、やるべき事が見えた
本当はこんな風にのんびりしている場合ではないのだろう
だけど、今だけでも
こうやって、なんでもない時間を笑い合いたい
屈託のない笑顔を、見せ合いたい
穏やかな時間を過ごす事ができる君に、君達に、少しでも安らぎを
＿＿できる事なら、この先もずっと
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
