貴方の名前は1 ページ49
「＿＿そうそう。そういえばさ」
しばらく過ぎた後
思い出したように、特訓中にAが声を上げる
何事かと良太郎と侑斗がAの方を向けば、休憩と称して転がっていたAが勢いよく身体を起こした
「前にさ。モモさんが“カミサマ”の事をなんて呼べばいいかって聞いてたじゃん？」
「あぁ…まだ“カミサマ”がAの中にいた時か。言ってたな、そんな事」
「そうそう。んでさ。ちょっと考えたんだよね。名前がないってのもアレだし、とは言え毎回“カミサマ”って呼ぶのもどうかと思うし」
「まぁ…実際、神様なんだけどな。見た目と中身がイマイチ比例しねぇけど」
「で、Aは何を考えたの？」
「名前！！“クロノス”ってどうかな」
「クロノス？」
“ギリシャ神話の？”と良太郎が問えば、Aは嬉しそうに頷く
その様子に良太郎と侑斗はAの横へと腰を下ろした
「安直だな」
「失礼な！クロノスってちゃんと時間神なんだよ？時間を神格化したってモノらしいし。
＿＿って言うか聞いて聞いて！
ギリシア神話には“クロノス”と“カイロス”っていう『時』を神格化した二つの神が登場するんだって。クロノスは過去から未来へと続く時の流れを支配して、カイロスは“チャンス”“タイミング”を意味した前髪しかない神として人間の時の活かし方を支配している…って教えてもらったの」
「おい待て。なんだその前髪しかない神ってのは」
「あー、分かる。私も同じ反応したもん」
クスクスとAは笑うと、地面に落ちていた手頃な枝を拾う
その枝でガリガリと地面に絵を描き始めたところで良太郎と侑斗が覗き込んだ
「…うまいな」
「まさかの絵心」
「特徴掴めてるでしょ？カイロスって、こんな風に前髪が長くて、後頭部は禿げてるんだって。後ろ髪を掴もうとしても掴めないって事から“チャンスはすぐに捉えなければ、後から捉えることはできない”っていう意味で古代ギリシャだか、ヨーロッパ方面の諺で使われてんだってさ」
加えて“美少年らしいよ”と教えてあげれば2人は途端に怪訝そうな表情を浮かべる
いつかの時間で聞いた、神話の話
これがまさかこんな所で役に立つとは思わなかった
どの時間に降り立ったことも、無駄ではなかったのだ
巡り巡って、ソレが意味あるモノへと変わっていた
だからきっと
“彼”に名をつけてあげることだって
『意味あるモノなんだよ』って、胸を張って言える
そして、その名前はきっと＿＿…
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
