乗り越えると決めた今3 ページ47
“仲間”と言う存在
それがどれだけ尊いか
改めて、そう思った
「A」
呼ばれた声にハッとAは我に返る
無意識に下げてしまっていた顔を上げれば、そこには少し困ったように笑う良太郎と眉間に皺を寄せている侑斗と目が合った
「えっ、と」
「いま、何か難しい事考えてたでしょ」
良太郎の言葉にAはギクリと肩を震わせる
それを見た良太郎と侑斗は、やれやれと言った様子で顔を見合わせ肩を竦めた
「ったく…またお前は」
「う…だって」
分かっているのだ
焦ったところで何も生まれないのは
それでも、どうしても焦燥感は後ろから追いかけてくるから
「Aが全部を背負う必要はないよ」
「ッ、でも…！あの剣の真の力は私にしか引き出せないって…！」
コウと戦うためには、あの銀色の大剣が不可欠
あの剣は“カミサマ”の分身とも言える存在だと、あの後本人から教えてもらった
そして、あの剣でしかコウに太刀打ちが出来ない
奪われた力を取り戻すためには、あの剣でコウに打ち勝つ必要があるとも＿＿
「“私”が、頑張らないといけないからさ。時間は限られてるし、こんな事でビビってる場合じゃないんだよね」
どれも、本当のコト
奮い立たせて、立ち上がって、克服して
立ち竦んでいるヒマはないんだ
「A」
「ッ、」
パシリ、と掴まれた手首
立ち上がりかけたAをそうやって止めたのは、侑斗だった
真っ直ぐな瞳に、Aは思わず息を飲む
「全てを背負うなって言っただろ？」
「だって…」
「確かにあの剣はAにしか使えねぇ。Aしか、コウにとどめを刺す事ができないのかもしれない」
「だったら！」
「でもな。“それまで”は俺らが代わることだって出来るだろ？」
「…え、？」
侑斗の言葉にAは思わず目を丸くする
手首を掴む侑斗の横では、良太郎が笑みを携えており両者の表情の差にAは困惑した
「全部をね、Aに任せようなんて。僕たちはそんな事考えてないんだよ」
「良太郎、くん…？」
「コウを弱らせる事くらいは、僕たちだって出来るはずだから。
Aが最後の一撃を。数秒だけあの剣を握ればいい。それだって、立派にコウと対峙した事になるでしょ？
＿＿僕たちを、頼っていいんだ。僕も、侑斗も、モモタロス達も」
するり
緊張の糸がほぐれた気がした
それは何よりも欲しかった言葉
ずっと願っていた言葉
＿＿こんなにも、近くになったんだ
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
