乗り越えると決めた今2 ページ46
「過去は、さ。過去でしかないんだよ」
Aは徐に手を伸ばし、カチャリとコーヒーカップを手にする
その表情はやはり穏やかで、強がりも見られない
「別に悪い意味じゃなくてさ。起きてしまった事は変えられないじゃん？
“カミサマ”がトラウマの原因ではあるけど、あの時私が気を失ったままだったらイマジンに連れ去られてたかもしれないし。今、“ここ”にいるかすらも分かんないじゃん。
戦って、旅をして。＿＿良太郎くん達、皆に出会って。もちろん楽しいばかりじゃなかったけど、“楽しい”がたくさんあったのも事実。
…理由はどうあれ、私は“カミサマ”、貴方に救われた。だから私は今、ここに存在できている」
Aも
“カミサマ”も
互いが互いに救われたのだ
その事実はここにいる全員が証人だ
Aの揺るぎない言葉に“カミサマ”の表情がくしゃりと歪む
大きな力は、時に無力だ
身近にある小さな力は、集まれば集まっただけ強力となる
それを教えてくれたのは、紛れもなくA自身だ
「＿＿ッ、俺…俺に出来る事は、なんでもやる。それすらも限られるかもしれないが…だが！必ず…ッ、力になると誓おう…！アレらはコウが持っていいモノじゃない…ッ」
「ふふ、“神様”が味方とか百人力じゃん。頼もし過ぎるよ。
＿＿でも、まずやるべきは＿＿…」
.
「＿＿落ち着いた？」
ボトルの水を飲むAに良太郎はそっと話しかける
何度か繰り返しボトルから口を離すと、Aは苦笑いを浮かべた
「いやー…思ってたより重症だったね。10秒も竹刀、握れないとは思わなかった」
自身の手を何度か握り、開く
過剰な力も震えも今は無くなっているが、ここまで根強いとは思っていなかった
当時10歳にも満たない子供だったのだから、当然と言えば当然なのだが
仕方ないと思うと同時に、不甲斐ない自分に落胆したのも事実だ
どうしたって焦りは出てくるし、このトラウマを克服できた時
＿＿コウと、ちゃんと戦えるのだろうか
相手は“神”だ
誰でもない、自分がコウを相手にしなければならない
自分は、勝てるのか？
息巻いて意気込んだクセに、出だしからこの調子だ
下手すればトラウマをどうにかする前にコウの方から先手を打たれてしまうかもしれない
「＿＿ッ、」
ドクリ、と心臓が跳ねる
自分は、弱い
一瞬でもそう考えてしまえば、堕ちるのはあっという間だ
あんなにも強固に意思を固めたのに＿＿
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
