欲しかったのはその言葉 ページ42
あの日の始まりを知った
自分で思っていた以上に感情は揺さぶられなかった
とは言え、やっぱりショックがなかったと言えば嘘になるし、まだ知り得ていない事もたくさんある
最終的に、私のゴールはどこへ向かえばいいのだろう＿＿…
「…… A、大丈夫？」
ぴったりと身体を寄せていたハナが心配そうに見上げてくる
そんなハナに笑いかけると、肯定の意味を込めて首を縦に振った
「うん、わりと平気かな。まぁ突拍子もない話だなぁって思いはするけど」
「…あの…“カミサマ”。Aを選んだ、理由って…あるの、かな」
ポツリと呟いた良太郎の言葉に、あの日の記憶が蘇る
一瞬で全てを掻っ攫われたあの日
未だにトラウマとして自分を雁字搦めにしてくるその記憶は夢で魘されるほどだ
選ばれた理由に、納得できるだけの“理由”が欲しい
「Aを選んだ理由…。あの日、あの場所で、あの瞬間に俺と波長の合った人物…それだけだ。身に余る力は与えられると自滅する。Aの周りの人間達が、Aの記憶をなくしてしまったのはその影響だ。Aにとっては辛かったと思うが…俺はアレで済んだのは奇跡だと思ってる。
＿＿と言うか。俺はあの場にAがいてくれた事自体が奇跡だと…そう感じてる」
そう“カミサマ”が言うと徐に立ち上がる
ゆっくりとした動作でAの座る前へとやってくると、そこで片膝をついた
突然のその行動に、Aを含む全員が息を飲む
そっとAの手を取ると、顔を上げ“カミサマ”はAと視線を合わせた
「あの…？」
「A、お前にとって辛い日々だったと思う。俺が思うよりもずっと、孤独で生きてきた…それは、本当にすまなかった。
＿＿だが、俺は救われた。俺が今、ここに存在できているのは紛れもなくAのおかげだ。Aが俺を助けてくれたから、時間が破壊されることなく続いているんだ。
ありがとう、A。全て、君のおかげだ」
優しい笑みを浮かべ、“カミサマ”はそう言うと手の甲に口付けを落とす
“手の甲への口付けは、尊敬や敬愛”
いつだったか、誰かがそんなような事を言ってたような気がする
長い間、苦しい思いをたくさんしてきた
たくさん泣いて、たくさん絶望してきた
この運命を呪ったりもした
今回、やっとこの運命の始まりを知った
根本的な解決はまだ何にも出来てない
でも
『ありがとう』
この“カミサマ”の言葉で
初めて、報われたような気がした＿＿…
欲しかったモノはもうたくさん持ってた→←始まりの物語はここに9
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
