始まりの物語はここに1 ページ33
耳を劈くような衝撃音と破壊音
そのあまりの音の大きさに意識が飛びかけた
反射的に強く瞑ってしまった目を開ければ、視界に入ったのは見慣れた背中＿＿…
「……くっ…」
砂埃が立ちのぼる中、侑斗はうっすらと目を開けた
舞い上がった砂が目を悪戯に傷付ける
何度か乱暴に目を擦り、痛みを逃しながら漸く目を開くと目の前の光景に身体が硬直したのが分かった
自分やモモタロス達を庇うように立つその人物に、嫌というほど見覚えがあったからだ
その背中も、この光景も、本来ならば“こっち側”であるべきは＿＿
そう、頭が理解した瞬間
ゾワリと侑斗は全身が粟立った
「ッ、おい…！「『まったく…ジャジャ馬娘が漸く腹を括ったか』」
聞こえた声に、侑斗は思考が停止した
その声は、よく知っている声だけど知らない“声”
否、ソレは彼女から発せられてはいけない“声”だった
いつかの記憶が一気に呼び起こされる
我を失い、慈悲を失い、ただただ目の前の敵を狩りに行くその姿は人の領域ではなかった
“2度とあんな思いをするものか”
そう、心に決めていたのに
「クソッ…！またかよ…！」
どう足掻いても、彼女に追いつけない
背を向けた彼女が振り向いた時、どんな表情をしているのか＿＿怖い
「『…安心してくれ、侑斗。今はAの意思ではないが、こうやって私が出てきているのは“ Aが願ったから”だ』」
「え…？」
聞こえた声は聞き慣れた声
やはりそこには知らない“声”が重なる
だが、いつかのような刺々しさだとか、背筋が凍るようなモノは混ざってはおらず
むしろ“穏やか”とすら感じてしまうほど、かけ離れた音だった
それがまた、侑斗をさらに混乱させる
その空気を感じ取ってか、良太郎とモモタロスの表情も困惑に満ちていた
「……お前…？」
「『Aが自ら願ってくれたのだ。心の底から、“力”が欲しいと。この力は、拒絶の心があると渡せない。だからいつも半端だった』」
「ッ、意味分かんねぇよ！！ちゃんと分かるように説明しろよ！！つーか、Aは“ちゃんと”いるんだろうな！？」
突飛な内容にキャパを超えたモモタロスが声を荒げる
その様子に“ A”は微笑んだ
「『…そうだな。きちんと、全てを話そう。始まりの時からの物語を。
＿＿だが、その前に。厄介者を払わねば』」
そう、口を開いた“ A”の目線の先
砂埃が晴れた中、佇んでいたコウの表情はどこか焦ったように見えた
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
