理由を、知った5 ページ29
「………カイ、ねぇ」
徐に呟いたのはフードの男＿＿否、“カイ”とよく似た顔つきの男だ
よく似た、と言うよりはほぼ同じだと言っていいほどだが、敢えて違う所を挙げるとするならば“カイ”よりも掴みどころがない表情や仕草をする所だろうか
カイほど荒々しくはないものの、得体の知れなさが不安を煽る
「やだなぁA。俺、Aにはちゃんと教えたじゃない。俺はカイじゃないって」
「ッ、聞いた！確かにそう言ってた！！でも…じゃあ、アンタのその姿はなんなの！？
「この姿？…あぁ、そうかコレはまだちゃんと教えてなかったっけ」
ふふ、と笑みを浮かべながら、男はようやくきちんと顔を上げた
その髪も、表情も、背格好も、全てが“カイ”であり、加えて男の今の発言がA達を更に混乱へと誘った
「時間っていうものはさ、一本の太い線なんだ。言うなれば、線路のようなモノだね。それが枝分かれして本線になったり、こぼれ落ちていったりする。
＿＿そう、ハナの時間が繋がって、カイの時間が繋がらなかったようにね」
「えっ…、急に何の話…？」
突然語り口になった男に、Aは怪訝そうに眉を顰める
今更、ソレがなんだと言うのだ
そんな表情のA達を一瞥すると、男は口元に笑みを携えながら再び口を開いた
「君達にもあるだろ？“選択しなかった時間”が。そしてその時間を選択しなかった事を後悔した回数だって、一度や二度じゃないハズだ」
「ッ、いちいち癪に障る言い方…！！」
「俺はね、“そういう”存在だ」
「………は？」
男の物言いに段々と苛立ちを露わにしていたA達だったが、その怒りすらも忘れるかのように男の言葉に時を止めた
脈絡があるようでない男の言葉
その言い方に振り回されている気がしないでもないが、男の言葉は真実へ近付く言葉であり、A達が聞かねばならないモノだ
「この時間に繋がった、ハナのいる時間。だが、カイがいる時間も繋がる可能性はあった。それが“選択”によって繋がらなかっただけ。
…言っただろう？枝分かれしている時間はたくさんある。枝分かれした分だけ、可能性が生まれる。ハナは桜井侑斗と野上愛理の子供だろう？カイがその可能性だってあったんだ」
「「「！！！！」」」
＿＿それはただの、“可能性”の話
だけどそれを“ただの”可能性として笑い話には出来なかった
何故なら、“ソレ”が目の前に存在してしまっているから
それはまさしく、神の御業
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
