理由を、知った4 ページ28
全身の血が勢いよく巡って行くのがわかる
ドクドク、ドクドクと沸騰しているみたいな、耳元がやたら熱く感じる
今までだって、突拍子もない話だとか、信じられないような信じたくないような話だとか、どうしようもない辛い話だとか、そんな状況だったりはたくさんはあった
そんな事がある度に、どうにかこうにか自分を落ち着かせてやり過ごしたりはしてきたけれど
今回もまたあり得ないくらい、目の前の現実に驚かされた
何度も“そう”じゃないかと疑って、否定されて
でも目の前に広がる現実は
“ソレ”を肯定せざるを得ないモノだったから＿＿
「……いやいやいや。ちょっと待ってよ…そんな事、ある…？」
ポツリと呟いたAの顔色は悪く、眉間には皺が寄っている
無意識に震え出した足は踏ん張る力を無くし、支えきれないと言うようにふらりとAの身体が傾いた
傾いたAの身体がトン、と優しく触れたのは良太郎で、Aを支えながらも目の前で起きた現実に顔色を真っ青にさせていた
「なんで…“あの時”、確かに君は…！僕たちはこの目でその瞬間を見たハズだ！！」
Aと同様、混乱の表情を浮かべている良太郎とは対照的に侑斗は落ち着きを見せていた
否、ただソレを表立って見せていないだけで侑斗自身も確実に困惑していた
「まさか特異点だからって消えなかったってオチか？さすがに繋がらなかった時間の特異点とはいえ…」
意味が分からない
ここにいる全員が目撃者だったのだ
でも、目の前に確かに“彼”は存在していて
あの時の達成感だとか、その後の虚無感だとか、安心感だとか、それらが全て意味がないモノになってしまっていたのかと戦慄した
「チッ…！なにが何だか分からねぇけどよぉ！なんでテメェがここにいるんだよ！！」
困惑の中、1人苛立ちを露わにするのはモモタロス
ズイッとA達より一歩前に出ると“フードの男”と対峙した
「＿＿なんとか言えよ！！なぁ！“カイ”！！！」
モモタロスの怒声に、Aはビクリと肩を震わせる
どう考えても、あり得ないのだ
“あの時”にカイは確かに消滅した
このフードの男にも、カイではないと確言を得たのだ
それがどうだ、目の前にいる青年はどう見ても“カイ”である
必死に僅かな可能性を模索するが、どれもこれもよほどの奇跡がないと成し得ないものばかり
＿＿底知れない恐怖が纏わりつく
気をしっかり持たなければ、と思えば思うほど、視界が揺れるのが分かった
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
