探して、探して、見つけて9 ページ24
「…………だから、なんなのよ」
しばらく俯いていたAが徐に口を開く
動揺し、再び我を忘れると踏んでいたフードの男はAの様子にピクリと眉を動かした
「なに？」
「だから、なんなんだよ。その瞬間の事をアンタが知ってれば…その話題を出せば、私がまた我を忘れて“神”とやらを出すと？」
は、と片眉を上げて笑うAに侑斗はいくばくかの違和感を覚える
よくよく見れば、フードの男から見えない位置で良太郎の腕を掴んでいる事に気付く
そしてその腕が、微かに震えていることも＿＿
「そもそもアンタは、私がそう易々と力を渡すと思ってたワケ？
＿＿確かに、いらないと思ってたよ。理不尽にこの力が宿ったその時は。“なんで私が”って…答えのない疑問を、ずっと誰かに投げかけてた。……答えなんか、返ってくる事なんてないのに」
忘れたくとも忘れられないし、悪夢として魘される事も一度や二度じゃない
でも、こうやって力をある程度使いこなせるようになった今、ソレは紛れもなく私の“一部”となったのだ
相棒ともなった武器に愛着も湧いているし、時間を飛ぶ力で何度ピンチを切り抜けてこれたか
そして、この“力”のおかげで、彼らに会う事ができた
それが一番この“力”を持ってから嬉しかった事だ
そんな、大切な時間をもらったこの“力”を
誰が、渡すか
「…アンタが欲するのは“力”だけなのか、私も込みなのか。まぁ今更そんな事どっちでもいいんだけど。
＿＿反吐が出るね、アンタと一緒になる事なんか！！」
「！！」
今は、
今なら、素直に受け入れられる
苦しい事も、悲しい事も、たくさんたくさんあったけど
この“力”を持った事によって得たものも、たくさんあった
負の感情や、出来事の方が記憶に残りやすいから真っ先に思い出されるのはそっちの方が多い
だけど、楽しかった事も嬉しかった事もたくさんあったのもまた事実
今更、他人に渡そうなんて思わない
「…貴様……ッ！」
ブワリ、男の殺気が強くなり大気を揺らす
それは“恐ろしい”とも感じられるモノなのに、今は不思議と怖くない
震えは止まり、無意識に掴んでしまっていた良太郎の腕をAはそっと離す
それに気付いた良太郎は思わずAの方を見やると、そこにはふわりと微笑みを携えたAがいた
「A…？」
「大丈夫。もう…大丈夫だよ」
この“力”は私に与えられたモノ
もう、『いらない』なんて言わない
この“力”も含めて、“私”だ＿＿
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
