探して、探して、見つけて6 ページ21
＿＿空気が、変わった
纏う空気が、変わった
“アイツは一体何者なんだ”と聞いた所で返ってくる言葉なんて分かりきってる
“神”なんて、この世にはいくつも存在しているけれど
あの男がなんの“神”かなんて考えたくもない
むしろ、あんなのが“神”だなんて思いたくなかった
「…チッ、あんにゃろマジで力をセーブしてやがったな！？」
フードの男を睨みつけながらモモタロスが吐き散らす
侑斗もさり気なく相手の視線から遮るようにAの前へと立つ
モモタロスは抱き寄せていたAを良太郎に託すと、その手にモモソードを出した
「ッ、モモさ…！」
「モモタロス！無闇に突っ込んで行っちゃダメだよ！」
「分かってらぁよ！！」
声を荒げるモモタロスは張り詰める空気に少なからず畏怖していた
今まで、色んな“敵”に遭遇した
戦って戦って、どんな時も“負けない意思”を当たり前に持っていた
だが、いま目の前にいる男はそれらが一切通用しないような、本能が“ヤバイ”とひっきりなしに警告してくるような、そんな空気を纏っているのだ
それは根性論でどうにかなるモノではなく、ただただ自分達と根本的に何かが違うだと思い知る
＿＿これが“神”と呼ばれる者か
知らず知らず、汗が滴り落ちる
気迫負けをしているようで気分が悪いが、これが“現実”だ
フードの男はこの場を制圧したかのように再び口角を上げると、高らかに声をあげて笑った
「…そう！！俺が、“カミサマ”！！この世の全てを統べる者！！」
その姿は“異常”とも“正常”とも見えた
絶対的な“力”を持った者は、得てして普通では考えられない行動を起こすからだ
この男が自身を“神”と言うならば、そうであるのだろうと信じてしまうもの
＿＿だが、良太郎は違った
「…本当に、そうなの…？」
溢された言葉に、ピクリとフードの男が反応する
大気を震わせていた男の笑い声はピタリと止み、辺りは静寂に包まれた
その中に、よく通る良太郎の声が響く
「僕には、君が“カミサマ”には到底思えない。」
その声は真っ直ぐ相手へと届いた
揺らぎも動揺も、懸念さえもない凛とした声
どこか確信めいた良太郎のその物言いに、モモタロス達は驚愕の色を浮かべる
それは、Aとて同じだった
「……良太郎、くん…？」
良太郎の見据える先にはフードの男
その表情は相も変わらず口元しか見えないが、先ほどとは打って変わって“無”を貫いていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
