歩いてきた道と、これからの道と2 ページ11
「＿＿で、なぁにてめぇは一人の世界にいるんだよ」
「あだっ！？」
突然の後頭部への衝撃にAが振り返ると、そこには呆れた表情をしたモモタロス、そしてその後ろにはいつの間にか食堂車メンバーが揃っていた
「…みんな…？」
その様子にAが目を丸くして驚いていると、モモタロスと同じように呆れた表情をしながらハナが一歩歩み寄った
「今度は、Aの番よ」
「え…？」
「Aの生きるべき時間を、見つけるの」
ハナの言葉に、Aは目を瞬かせる
次いで困ったように眉をハの字に下げるとふるふると首を横に振った
「…気持ちだけ、いただいておきま「嫌よ。ちゃんと行動までもらって」
言葉を遮られたAは、より困った表情を浮かべた
“迷惑をかけられない”とも思うのだが、それ以上に“いつ忘れられてしまうのか”が怖いのだ
今日か明日か、一年先かもしれないし、次の一瞬には自分の記憶が相手からなくなってしまうかもしれない
楽しく過ごしている最中に相手の記憶がなくなってしまった事は一度や二度じゃないのだ
そんな瞬間を、皆とは迎えたくない
でもこの場所へは帰ると皆と約束したのも確かで
ならばせめて、なるべく同じ時間を過ごさないよう努めようと＿＿…
「こっちは特異点が二人もいるのよ。ナメてもらっちゃ困るわ」
「なっ…そんなつもりはないけど！でも、時間に抗う事は…」
「抗うんじゃないんだよ、A」
「良太郎、くん…？」
声のした方を向けば、そこには穏やかに微笑む良太郎がいて
良太郎は一歩歩み寄ると、ゆっくりと口を開いた
「抗うんじゃなくて、身を任せるんだ。そうすれば、きっと時間が答えをくれる。そう信じようよ。それに…ひとりで探すよりたくさんいた方が分かること、あると思うよ」
＿＿たくさん、たくさん助けてもらった
欲しい言葉も、行動も、いつだって絶妙なタイミングでAは応えてくれた
ならば、今度はそれを返してあげたいと思うのは当然の感情で
それはこのデンライナーに乗っている、全員の総意だ
「……ッ、もう…」
良太郎の言葉にAは目を見開いたが、次の瞬間にはくしゃりと表情を歪ませた
泣くまいと顔を伏せるAに、良太郎はそっと背に手を添える
震えるその背中は、いつも堂々たる彼女からは想像もできないほど華奢だった
「見つけよう？…一緒に」
「ッ、うん…、うん…！」
独りじゃない
皆がいるから
その肩に乗る重荷を、必ず＿＿
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茉南(プロフ) - Aさん» 読んでいただきありがとうございます(^^)ラストまでどうなるか…楽しんで読んでもらえるよう頑張っていきます！亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (10月24日 0時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 侑斗オチだと嬉しいです！いつも楽しく読ませてもらってます！完結までがんばってください (10月23日 0時) (レス) @page34 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月9日 0時
