280 ページ31
「＿＿何しにきたのよ」
薄暗く、冷たい地下牢にツキナさんの声が響く
どうにか少しだけ体調が安定し、短時間ならと許可がおりてこの場所にやってきたのは次の日の昼間だった
マルコ兄の他に誰が付き添うか、で隊長格の皆が揉めに揉めたらしいが最終的にエースが一緒に行く事になり、他の人達は映像電伝虫で事の次第を見守る事になったらしい
…カタツムリ大嫌いな私からしてみれば、アレが視界に入るのさえ嫌なのだがここは流石に皆が折れてくれなかった
あれから徹底的にマルコ兄達が共犯を洗い出そうとしたらしいのだが、結局“裏切り者”として捕えられたのは直接わたしに手を下そうとした3人だけだった
隊の内情とか、隊長のみんなの動きとか、それらは全てツキナさん達が雑談の中から巧みに引き出していたモノであり、彼ら以外の人達は処分という形にならなかったらしい
…とは言え、お咎めナシというワケにもいかないという事で全隊に重めのトレーニングやら隊長達の愛の鞭やらが行われるとの事だ
＿＿あの日以来、ツキナさんとは初めての対面
最低限の衣食住を与えられていただけだったようで髪もメイクも服装も、いつも華やかにバッチリ決めていたあの頃とは比べ物にならない姿だった
「……話を、しようと思って」
「ハッ…今さら、何を話せって？高い所から、良いご身分ね」
マルコ兄に抱き抱えられた私を見て、ツキナさんは嘲笑った
それを見たエースはカッとなってガシャンと勢いよく鉄格子を掴みながら叫んだ
「ッ、テメェ！！よくそんな事が言えたな！？元を辿ればテメェのせいじゃねぇか！！」
「いいよエース。確かにツキナさんの言う通りだよ。マルコ兄…おろしてくれる？」
「ッ、だがA…」
「大丈夫だよ、それくらい。ちゃんと…話したいから」
“お願い”、と再度マルコ兄を見やれば、渋々と言った態度でそっとおろしてくれた
そのまま鉄格子を掴むエースの横に並び、ペタリと座り込んだ
「おいA、そんな所座り込んだら…」
「ふふ、心配症な人たちのおかげであったかいから大丈夫」
地下は冷えるから、と何枚も巻かれた毛布のおかげで寒くはないし、地下特有の冷えた床からの底冷えもない
心配そうにこちらを見てくるエースに笑いかけると、ゆっくりとツキナさんへと向き直る
目線の高さが合うと、それまで視線が交わらなかったツキナさんとようやく目が合った
ようやく、同じラインに立った
＿＿あとは本音で語り合う、だけ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 451人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉南(プロフ) - はるさん» 読んでいただきありがとうございます！更新を待っていただける事、とても嬉しいです(^^)のんびりし過ぎて忘れられないよう頑張っていきたいと思っています（笑）これからもよろしくお願いします！ (2月15日 11時) (
レス) @page49 id: 6c919d248d (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (2月15日 10時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雨衣さん» いつもありがとうございます(^^)そうなんですよー！原作はみんないなくなってて寂しくて(T-T)彼らを今後どうするか、ある程度考えているのですが…今が楽しくて悩み中です（笑）今後も楽しんでいただけたら嬉しいです！ (12月28日 0時) (レス) id: 936b383323 (このIDを非表示/違反報告)
雨衣(プロフ) - 毎週本当楽しみにしてます！アニメではサッチもイゾウ達もらいなくなるので寂しいんですけど手のなる方へではみんないるから本当癒しになります！！今後の展開が楽しみです！ (12月27日 21時) (レス) @page44 id: ab81a6b8c3 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - れなさん» 読んでいただきありがとうございます！文章を褒めていただき、昇天しそうです…。ちまちま書き進めていますので、のんびり待っていただけると嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします！ (12月19日 23時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月3日 11時
