293 ページ44
「…よし。完全復活、でいいだろぃ」
カルテから目を離したマルコ兄
その表情はどこか安堵したように見える
“あの事件”から続いた体調不良
何度も波を繰り返し、ようやく船医のマルコ兄からの御墨付きとなったのだ
「やったー！！！やっと！病人からの脱却！！」
思わず両手を上げて喜べば、ペシリと額に痛みが走る
反射的に額を押さえると、今度は呆れた表情をしたマルコ兄と目が合ってしまった
「調子に乗るとすぐぶり返すよぃ。仕事も、まだしばらくやらなくていい」
「えぇーー！？マジでそれ言ってる！？リン姉にいつまでも迷惑かけられないんだけど！」
“リン姉だって本職の仕事もあるし”と加えて言えば、何故かマルコ兄は急に難しい顔をした
苦虫を噛み潰したような、何とも言えない表情に首を傾げる
「え、なんなの？リン姉、なんかやった？」
「いや、やってねぇんだよ」
「は？」
どういう事？と問いただせば、納得できないような、ぶすくれた表情でマルコ兄はポツポツと喋り出した
「Aほとじゃねぇが、アイツも書類捌きがどうやら得意みたいなんだよぃ。つーかアイツ、ある程度の事は何でも卒なくこなしやがる。それを分かっててやってンのか、逐一口出ししてくるんだよぃ！
あんな小姑みてぇなヤツと四六時中一緒にいてみろ！こっちの方が気が滅入っちまうよぃ！！
やる事はやってっから文句も言えねぇし俺がただストレスが溜まる一方だよぃ！！」
だぁあ！！っと雄叫びと言うか叫んで、マルコ兄は頭を抱えて机に突っ伏してしまった
なるほど、リン姉のおかげで書類の負担は減ってるハズなのにどこかお疲れの様子だったのはこのせいか
「いいじゃん、書類要員は多い方がいいよ。
私がいなくなった後に、マルコ兄が過労死しなくてすむじゃんか」
「は？俺はお前を手放すつもりは毛頭ねぇよぃ」
「え？」
事もなげに言葉を発したマルコ兄に思わず間抜けな声が飛び出す
いやだって、いつかは帰らなきゃいけない時は絶対来るワケで
その後の穴を誰が埋めるかは早いうちに決めといた方が絶対いい
そう言葉にしようと口を開きかけたところで、スッとマルコ兄の節くれだった人差し指が私の口に当たる
反射的に口を噤めば、満足したようにニヤリと笑った
「俺の補佐は後にも先にもお前ひとりだ。誰にもくれてやるつもりはねぇよ」
「うわ、すっごい殺し文句！」
「口説いてるからなぃ」
そう言われて嬉しくなっちゃう私は、やっぱり単純なのかも
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 448人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉南(プロフ) - はるさん» 読んでいただきありがとうございます！更新を待っていただける事、とても嬉しいです(^^)のんびりし過ぎて忘れられないよう頑張っていきたいと思っています（笑）これからもよろしくお願いします！ (2月15日 11時) (
レス) @page49 id: 6c919d248d (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (2月15日 10時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雨衣さん» いつもありがとうございます(^^)そうなんですよー！原作はみんないなくなってて寂しくて(T-T)彼らを今後どうするか、ある程度考えているのですが…今が楽しくて悩み中です（笑）今後も楽しんでいただけたら嬉しいです！ (12月28日 0時) (レス) id: 936b383323 (このIDを非表示/違反報告)
雨衣(プロフ) - 毎週本当楽しみにしてます！アニメではサッチもイゾウ達もらいなくなるので寂しいんですけど手のなる方へではみんないるから本当癒しになります！！今後の展開が楽しみです！ (12月27日 21時) (レス) @page44 id: ab81a6b8c3 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - れなさん» 読んでいただきありがとうございます！文章を褒めていただき、昇天しそうです…。ちまちま書き進めていますので、のんびり待っていただけると嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします！ (12月19日 23時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月3日 11時
