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■: ページ18

...









そういえば、この乾いたような染みは何だったのだろう。


カサカサと乾燥した音を出すそれに、俺はまた疑問を持った。


この前開けた時も気づいたけど、あの時はお弁当作りに夢中で考えることも忘れていた。




「...懐かしい。」




あの時は開かなかったページに、昔の記憶が呼び起こされる。


幼稚園の入学式、母ちゃんと一緒に正門の前に立っている小さな俺。


中島先生に、「お父さん」と呼ばれたあの日。俺の中で何かが固まって、決心がついたことを思い出した。




「...結局俺は、慧くんのことを幸せになんて出来なかったんだよな」




そう思うと、この4ヶ月間のことが慧くんの中では無かったものになっていくようで、それもすごく寂しくなった。


窓を見ると、カーテンからは朝の日差しが少しずつ見え始めていて、もうそんな時間かとアルバムを閉じて立ち上がる。




パサッ_




「ん?なんだこれ」




そんな音を出して落ちた"それ"は、俺の心の蓋を開けるのには十分すぎた。









.









パサリと静かな音を立てたのは、




「っ!......っく、」




名刺サイズの小さな紙に、あおいろのくれよんで



『ありがとう』



そう書かれていた。


4ヶ月前よりもうんと上手になったその字は、箸の練習の成果だと、俺は思いたい。




「グスっ、...はぁ...ふふっ」




驚いた拍子に開いたアルバムには、疑問に思っていたシミと、同じものが、そこには出来ていた。




「ありがとう。...慧くん。」




風が嘲笑うかのように冷たくなる秋、寒さしかないと思っていた冬。


俺は不思議な出会いをし、世界で一番暖かいものに包まれた。




「...また、会えるかな。」




怯えたようなあの瞳が、今では幸せに笑っているのなら、


俺はそれだけで、幸せだ。

■:そして、いま。→←■:今更って、遅いかな



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龍晴(プロフ) - 本当に、素敵な作品ありがとうございました。これからも、頑張ってください! (2018年10月18日 18時) (レス) id: 09f81ce775 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - とても心温まる作品だと思いました!今後も頑張ってください!!!!!! (2018年8月24日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
フェアラーが跳びます(プロフ) - 感動しました! 他の作品も頑張ってください。 (2018年3月28日 11時) (レス) id: 8f4ea0c48a (このIDを非表示/違反報告)
nanami?(プロフ) - とても素敵な作品です!続きが読んで見たいです。 (2018年3月23日 15時) (レス) id: 6d821c8069 (このIDを非表示/違反報告)
名無し11746号(プロフ) - 未来が見てみたいです! とてもステキな作品ですね! (2018年3月17日 19時) (レス) id: 514045eef7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆりあ | 作成日時:2016年11月22日 21時

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