検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:207,167 hit

■:濡れたほっぺ ページ1

...







「...ただいまー。」




店の扉を開く。背中にビュンと風が吹き付けて、無理やり俺を中に押し込んだ。


店の中を見ると、もうテーブルの上に椅子が上げられていて、少し照明も落ちている。




「遅かったんじゃない?もう待ちくたびれちゃってるよ。」




あんなに警戒心の強い慧くんが、圭人の腕の中で寝息を立てていた。


...なんだろう。安心している自分がいる。
よかった。どんな顔して会ったらいいか、悩んでいたから。なんて、思う俺は最低だよな。




「...ごめん。助かったよ。」




圭人から眠っている慧くんを受け取ると、うっすら顔が和んだ気がした。


そんな慧くんを見て、変に力が入り強ばっていた頬が柔らかく緩んだ。




「...涼介、大丈夫?」


「へ、...なにが?」




急に真剣な表情の薮ちゃんが、俺の顔をのぞき込む。そんな薮ちゃんこそ、一日の終わりで疲れた顔を隠せてはいない。


時刻は21時を回った頃。車の中で、グルグルと頭の中を回っていたことが時間を捨てていた。




「泣いたんじゃないの?」




見えるのは、窓から差し込む月の光だけで、薮ちゃんの心配そうな表情を照らしていた。

■:→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (423 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1356人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

龍晴(プロフ) - 本当に、素敵な作品ありがとうございました。これからも、頑張ってください! (2018年10月18日 18時) (レス) id: 09f81ce775 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - とても心温まる作品だと思いました!今後も頑張ってください!!!!!! (2018年8月24日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
フェアラーが跳びます(プロフ) - 感動しました! 他の作品も頑張ってください。 (2018年3月28日 11時) (レス) id: 8f4ea0c48a (このIDを非表示/違反報告)
nanami?(プロフ) - とても素敵な作品です!続きが読んで見たいです。 (2018年3月23日 15時) (レス) id: 6d821c8069 (このIDを非表示/違反報告)
名無し11746号(プロフ) - 未来が見てみたいです! とてもステキな作品ですね! (2018年3月17日 19時) (レス) id: 514045eef7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆりあ | 作成日時:2016年11月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。