夏色なみだ【kota × kei】

＊ ページ17

＃こうた








慧「よかったじゃん」


宏太「え？」




最近の慧は、なんだか俺を見てくれない


そのせいなのか、


慧が何を思っているのか、何を考えているのか、よく分からなくなっていた。




慧「高校。行きたかったんだろ？」




それ、侑李先生にも言われた




宏太「んー、…でも」


慧「……」




ほらまた


そういう顔する




慧「何？さっきから人の顔ジロジロ見て」


宏太「別に」




そんな顔で言われても、ちっとも怖くない


血圧が不安定とか、微熱が続いているとか、心音に雑音が混ざっているとか


慧は昔から、自分から言わない代わりに顔に出やすかった




慧「…なに怒ってんの」


宏太「別に、怒ってないよ」




あーやだやだ、この空気


ただでさえ梅雨で空気が湿ってるのに、こんな会話してたらさらにジメジメする。




慧「…で、どこ受けんの」


宏太「公立しかないよね」


慧「金は？」


宏太「…わかんない」




そうだった


俺の入院費と治療費、ただでさえそれだけで母さんの体はボロボロなのに


俺はまだその体を使わせる気なのか。




慧「まぁさ、そのへんは気にしなくてもいけると思うよ」


宏太「なにそれ、人事だな」


慧「見りゃ分かんだろ…、俺は高校なんて行ける体じゃないって」


宏太「じゃあなんで…、手術受けなかったんだよ」

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