夏色なみだ【kota × kei】

＊ ページ12

＃こうた







カラン、カラン


パン、パン








宏太「なにお願いした？」




いつものスウェットの上に、厚めのパーカーを着て手首を隠せば、


俺たちだって見た目は普通の中学生だ。




慧「こういうお願い事は、自分だけのヒミツじゃなかった？」


宏太「ははっ、そうだっけ」




あー、太陽の光ってこんなに暑かったっけな


外は最近になって急に気温が上がったらしいから、
神社に脱走なんて久しぶりだった。




宏太「そういえばお金、あれどうしたの？」


慧「え？あー、あれね」




神様にお願いをするときには、賽銭箱にお金を投げることぐらい


あの白い箱に入れらても一応、知ってはいた。




慧「自販機の釣りんとこあんじゃん、あそこから取った」


宏太「…そういうの、神様みてると思う」




病室にいる時は蝉の鳴き声しか聞こえなかったくせに、外に来てみると


空のずっと奥の方から、ジリジリと音を立てて俺たちを垂直に見下ろす太陽。




慧「あつ…」




一応、病院を出る前に水分補給はしてきた。


でも慧は、勝手に水分とったらダメだから…




宏太「もう帰る？」




額に浮かぶ汗を拭って、横を見る




宏太「…慧？」


慧「、なに？」




気のせいかな、ちょっと顔色悪いかも




宏太「帰ろう」




自分から言い出しておいて、立ち上がるのはいつも慧が先。




慧「翔先生に見つかる前に、な」




俺の前に置かれた２つの手を握る。




病室で握ったときより冷たいと感じたのは、


俺の手が、汗ばんでいたせいだろうか。

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