Episode.29 ページ32
side*大貴
大貴「山田ー、2本目行くってよ。」
今日はレギュラー番組の収録日。
すでに1本目を撮り終え、諸々の準備のため休憩が入り30分が経った。
マネージャーと話しながら出ていった裕翔や、お手洗いに寄ると走っていく薮くんを背に、テーブルに突っ伏している山田に声をかける。
侑李「あ、取れちゃってる。」
ぴくりともしない山田にもう一度声を掛けようと口を開くと、
隣に来た知念が手の中の補聴器を指差しそう呟いた。
大貴「ん?…ほんとだ。自分で取ったのか。……山田?起きれる?」
なるべく刺激にならないように、腕を持って優しく肩をとんとん叩く。
声掛けがほとんど意味のないものだと分かっていながら、山田、山田と何度か繰り返した。
涼介「………ん、ん…」
大貴「おはよ。撮影再開するよ。」
のそっと体を起こした山田は、目を瞑ったまま眉間にしわを寄せた。機嫌悪いなぁ…
大貴「ん、付けて。」
涼介「………ぁあ」
目をこすった手を取って、掌に補聴器を握らせる。
少しぼけっとしていた山田だったが、にぎにぎと何度か形を確認すると耳にそれを付けてくれた。
侑李「スタジオ行くよ。」
大貴「行ける?」
涼介「ん……っよーし。」
ぽやぽやしたまま廊下を歩く山田。
エレベーターに乗ると、また眠ってしまいそうになるのを頬を摘んで起こした。
涼介「……やめろ」
大貴「表情筋のマッサージしてやる。」
もちもちな頬を回して、押して、肉の下の固まった筋肉をほぐす。
そのまま肩に手を下ろし、マッサージをすると首がぐらんと下がった。
大貴「お客さん肩凝ってますね。」
涼介「最近ね。」
侑李「頭痛の原因それじゃない?」
涼介「んー…?」
.
.
浮遊感が消え、目的の階に到着した音が鳴る。
扉が開いて、外に出た。
…………そんな、些細な瞬間に。
大貴「山田?」
侑李「涼介、降りないと。」
知念に腕を引っ張られるまで、山田は片足を壁に寄りかけたまま、動こうとしてなくて。
涼介「…ぁ、ごめん。」
大貴「いや、全然」
「そうだった」…って。
思ってしまう俺がいる。
侑李「寝てたんでしょ。」
涼介「目閉じてただけ。」
…………山田は、俺らの声が聞こえない。
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ゆりあ(プロフ) - JUMPLOVEさん» 大変遅くなってしまい申し訳ありません(;_;)また更新を再開致しましたので、ぜひご覧下さい…! (2021年6月1日 21時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - 久しぶりに山田さんの病系を読もうと思ったら、またまたゆりあさんが素晴らしいお話を…!!だいぶ遅くなってしまいましたが、イケメン兄貴・有岡さんとツンデレ・山田さんにやられました…もうほっぺゆるゆるです!!笑 次のお話も楽しみに待ってます!( ´∀`) (2021年3月29日 0時) (レス) id: 8ab2b29f53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - JUMPLOVEさん» ありがとうございます…!!病系以外のこともお褒めいただいて光栄です(;;) 私の書くありやまちゃんを「大好き」と言っていただけるなんて…うぅ、これからも頑張ります(;;) (2021年2月8日 11時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - これ以上有岡さんがイケメン兄貴への道を進んでしまったら私は正気でお話を読める自信がありません(めちゃくちゃ褒めてます)。ゆりあさんの書く有岡さんが大好きなんです…!!これからもっと進化するのかと考えたらもうワクワクが止まりません!!(´∀`=) (2021年1月30日 17時) (レス) id: 8ab2b29f53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - にゃんこさん» ありがとうございます……!頑張ります(;_;) (2021年1月19日 23時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2021年1月8日 21時