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side*大貴
嘘、だって前はここに……
慧「っ、どした?」
焦って中身をひっくり返していると、腕で汗を拭いながら声を掛けてくれた伊野ちゃん。
こちらの様子に気がついたのか、音楽も止まり、皆が血相を変えて動き出したのを感じる。
大貴「低血糖やばそうだから点鼻薬にしようと思ったんだけど、見つからなくて。」
慧「それだけ探して無いなら入ってないよ。……こっちにしよう。」
そう言って、伊野ちゃんが手に取ったのは瓶と注射器が入ったグルカゴンのセット。
担当医の先生からやり方の説明があったけど、かなり前だし正直自信ない。
大貴「伊野ちゃん覚えてる?」
慧「大体は。やり方書いてあるしいけるでしょ。肩出してあげて。」
喋りながらトントン手を進める伊野ちゃんは、小瓶から溶解液を吸い取り、もうひとつの瓶へ注入する。
くるくると瓶を回し、細い注射器でもう一度グルカゴン溶液を吸い取った。
大貴「……。」
俺はどきどきと鳴る鼓動に深呼吸をして、
もうほとんど意識のない山田のレッスン着を脱がせ、白い肩を出す。
慧「よし。注射するよ?」
顔を上げた伊野ちゃんは、指で注射器を叩いて空気泡を抜き、
ひとつ息を吐くと、肩を摘んで針を刺し、山田にグルカゴンを注入した。
裕翔「病院に連絡した。救急車で来るって。」
全てきちんと入ったことにほっと胸を撫で下ろすと、スマホを持った裕翔がそう声を掛けてくれる。
大貴「ありがとう。」
慧「俺らができるのはここまでだね。」
びっしょりかいた汗をタオルで拭いてやり、ぺたんと垂れた前髪を流す。
脱力した腕をとり、手を握ると、温めるように摩り続けた。
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ゆりあ(プロフ) - JUMPLOVEさん» 大変遅くなってしまい申し訳ありません(;_;)また更新を再開致しましたので、ぜひご覧下さい…! (2021年6月1日 21時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - 久しぶりに山田さんの病系を読もうと思ったら、またまたゆりあさんが素晴らしいお話を…!!だいぶ遅くなってしまいましたが、イケメン兄貴・有岡さんとツンデレ・山田さんにやられました…もうほっぺゆるゆるです!!笑 次のお話も楽しみに待ってます!( ´∀`) (2021年3月29日 0時) (レス) id: 8ab2b29f53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - JUMPLOVEさん» ありがとうございます…!!病系以外のこともお褒めいただいて光栄です(;;) 私の書くありやまちゃんを「大好き」と言っていただけるなんて…うぅ、これからも頑張ります(;;) (2021年2月8日 11時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - これ以上有岡さんがイケメン兄貴への道を進んでしまったら私は正気でお話を読める自信がありません(めちゃくちゃ褒めてます)。ゆりあさんの書く有岡さんが大好きなんです…!!これからもっと進化するのかと考えたらもうワクワクが止まりません!!(´∀`=) (2021年1月30日 17時) (レス) id: 8ab2b29f53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - にゃんこさん» ありがとうございます……!頑張ります(;_;) (2021年1月19日 23時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2021年1月8日 21時