頑張り屋さん ３

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side涼介









事故に遭った日から、どうやら三週間が経つらしい。


怪我はほとんど回復し、まだ包帯は取れないものの、骨折も骨はくっついた。


朝食を持ってきてくれた看護師さんは、今日はご機嫌ですね。なんて声をかける。


機嫌がいいのなんて当たり前じゃん……だって今日は、怪我をしてから初めての外出だもんね。









.




朝食を食べ終わり、テレビと時計を交互に眺めていた時


ノックも無しにガラガラーっと病室のドアを開けたのは……大ちゃん。




大貴「お待たせーー！」


涼介「……うるさい。ここ病院」


大貴「んなこと言うなよ〜。静かに入ってきても文句言うくせに。“大ちゃん元気ない”って」




鳥みたいに唇を尖らせ、どうやら俺の真似をする大ちゃんは、完全に俺を見下している。




大貴「まぁまぁそう怒るなよって。“俺が来るの待ってた”って、看護師さんから聞いたぞ？」




やられた。朝の看護師さんだ


ムカつく顔をする大ちゃんに腹を立てていると、




大貴「ほい」


涼介「……なんで」


大貴「まだ足痛いんでしょ？俺が乗せてあげるから」




ベッドの横に車椅子をつけ、布団を剥がした俺に両手を差し伸べる大ちゃん。


……これだからこの人は。




涼介「あ、足以外は、もう平気だからねっ！」


大貴「わかってるって〜。ほら早く捕まりな」


涼介「んん、なんかむかつく……」




仕方なく大ちゃんの背中に手を回す。誰に見られているわけでもないのに、何故か目が泳いだ。


車椅子に乗れたことを確認すると、俺の膝にブランケットをかけ、少し悩んだあと


大ちゃんは首からマフラーを外した。




涼介「大袈裟なんだよ〜」


大貴「マジもう寒ーんだって。騙されたと思って」




そう言って俺の首にぐるぐると巻かれるそれは、ふわっと大ちゃんの匂いがして、妙に落ち着く。




大貴「よし！準備完了！」


涼介「れっつごー」




くるっとタイヤを回し、病室を出る。


駐車場まで行くと、マネージャーが車で待っていた。




マネ「もう全員揃ってるって」


大貴「まじ？早いなーみんな。山田、俺らも合流するぞ」




そんなことを言いながら、どこで学んだんだと思うくらいにスムーズに俺を座席に座らせる大ちゃん。




涼介「なんか慣れてるね。大ちゃんのくせに」


大貴「お前ってば一言が余計なんだよ」




そう悪態をつくも、


この外出は、俺を励ますために皆が計画してくれたものだと俺は知っている。

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