頑張り屋さん ３

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side*涼介









『それでは本番でーす！！』




撮影が始まって、今日の司会は大ちゃん。




大貴「今回の企画はですねー」




例の大きなフリップを上から覗き、スラスラと言葉を並べる。


周りからは盛り上げるように大きな声が聞こえて、笑い声が聞こえて


あー…俺も何か言わなきゃって、口を開いたけど




涼介「けほけほっ…っ、」




自分から発せられたのは、


久々の全員ロケを喜ぶものでも、ヘマして皆から頭を叩かれている彼へのツッコミでもなくて


胸の方からせり上がってくるような咳に耐えられず、肩を揺らす。




『カット！オープニングOKでーす！』




結局何も発言できぬまま、カメラは動きを止めた。




侑李「はい、」


涼介「ありがと…」




知念から水を受け取り、ストローを咥える。


コク、と一口飲み込んだだけなのに、それが気管に入ったのかむせた。




大貴「おお、大丈夫か」




スタッフさんと話し込んでいた彼の手が、すぐにやってきて背中に触れる。


さっきまで周りから総ツッコミを受け、皆をかき分けるようにして暴れていたその手が、


今は俺の咳を沈めるために動いていて。




涼介「ごめ、もう平気」


大貴「無理すんなよー。本番中も、無理して喋ろうとしなくていいんだから」




「その代わり。」と、またスタッフに呼ばれた彼が振り向く


一度離れた足をまた動かし、目の前にやって来る。


おもむろに手を伸ばしてきたかと思えば、俺の頬に触れた指を動かし、




大貴「…うん。やっぱり笑顔が一番似合うよ」




そう微笑んだ。

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