頑張り屋さん ３

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side*大貴









慧「病院で貰った薬は？ちゃんと飲んだ？」


光「体伸ばした？ストレッチ大事だよ？」


雄也「しんどくなったら抜けていいから。我慢しないでよ」




今日は、新しく発売するアルバムの中からMVを撮る二曲の振り付けをする日。


各々が体を温めたりウォーミングアップをする中、一人に集中してそんな言葉が飛び交うレッスン室。




涼介「もうわかったよーー、みんな心配しすぎ！」




当の本人は全然気にする様子はなく、ニコニコしながら声を張る。


……今日は調子いいのかな。


いや……いくらリハビリやトレーニングをしてきたとはいえ、退院してからまだ一度もダンスを踊っていないし、不安はあるはず。


入院中の様子からして、無理して笑顔作ってるようにしか見えないし……




大貴「山田ー」


涼介「なにー？」


大貴「無理すんじゃねぇよ？」




肩を組んでそう言ってやると


ニヤッと笑って




涼介「バーカ」


大貴「おわっ！？！？」




山田の肩に腕を回したことによって無防備だった俺の体は、


予想していなかった一撃により身動きが取れなくなる。


俺の……俺のへそに……くそぉ




大貴「〜〜っ……今のは反則だかんな！！！」




怒られたー、と知念の元へ去っていくその後ろ姿を見ていると、困り顔の知念に何やらまた注意を受けていて


ヘラヘラと笑うその様子を見ていると、


空元気を装えるくらいなら、またいつもみたいに自己解決するかもだし平気か。


……なんて、勝手に納得していた。









.




レッスンが始まってから、１時間半が経った。


今回は最初から最後までガッツリ踊る振り付けじゃないから、


部分的に曲を流して、入れた振りを踊って、確認し合い、また踊るっていうのを繰り返す。




『一旦休憩しようかー』




振付師さんの声で、それぞれ踊っていた場所から離れ、飲み物やトイレに行く人もいた。


俺も端に寄せてある椅子に座り、用意されたペットボトルを手に取り水分補給。




大貴「……山田ー！お前もちょっと休めよ〜」




……今思えば、


目が覚めたあの日からこの瞬間まで、ずっと。


山田からのSOSは、俺たちのすぐ傍にあったんだ。

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