■: ページ42
side*大貴
ピッ_ピッ_
一定のリズムを刻むそれを眺めながら、覚醒を待つ。
頭、胸、腕、脚。
ぐるぐるに巻かれている包帯、添えられたギプス、紅潮した頬。
ときどき流す涙を拭いてやりながら、点滴やら機械やら、たくさん付けられた手を握る。
口元でしゅーっと曇るそれを見ては、息をしてくれていることに一々安心してしまう。
侑李「んぅ……」
大貴「おはよ」
おはよう。と顔の周りからなんか出そうなほどぽやぽやとしていたにも関わらず、ここが病室だと分かると
さっきかけ直してやったブランケットをくしゃくしゃにして、跳ねた寝癖なんて気にもせず
ベッドに駆け寄ってきた。
侑李「どう?」
大貴「変わりないよ」
変わらず、ちゃんと眠ってる。
そっか。と肩の力を抜いた知念は、俺の横に椅子を並べた。
事故の日から3日。
山田は、未だ目を覚まさない。
大貴「喉乾いたっしょ。俺なんか買ってくるわ」
今日は、珍しく明け方まで仕事があった。
ふつう面会時間は決められているけど、特別に制限がないから、帰りに病室に寄った。
カラカラと扉を開けると、ちょうど朝日が登ってきていて、射し込む光りに照らされたそこには、
ベッドに横たわる山田と、力尽きたように眠る知念がいた。
大貴「自販でいっか」
朝になって、一般の人もチラホラ見え始めた病院内。
ポケットに突っ込んであったマスクをつけ、小銭を出した。
.
文句言われないように2種類買って、病室に戻る。
ナースステーションが見えてきた頃、なんだかバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。
誰か急変したのかな、とこっちもそわそわとしてしまうその音に、病室に向かう足を速める。
大貴「え……」
足音が消えたのは、山田の病室で。
担当してくれている医者と看護師が、慌てた様子で病室へと入っていく。
大貴「っ……!」
一度きちりと閉められた扉を力いっぱい開けると、
ぼんやりと目を開ける山田の手が、震えながら知念を求めていて
すかさずその手を取り、離れないように握りしめる知念。
医者が一通り診終わると、
『もう大丈夫でしょう』
その言葉に、止めてしまっていた息を吐き出す。
侑李「涼介……おはよう」
涙を流しながらそう笑った知念は、山田を抱きしめ、その背中に手が添えられたもんだからほっとする。
病室には、足音が聞こえてきた。
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ゆりあ(プロフ) - ももたさん» リクエストありがとうございます。今回は質問箱で募集していたのですが........インフルのお話はすでに頂いているものがあるので、そちらと繋げさせていただきます.......! (2019年9月16日 22時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - だぁゆ ぅさん» 把握です!応援ありがとうございます! (2019年9月16日 22時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - リクエストです。山田くんが高熱を出して、大ちゃんが病院に連れていきインフルの検査をして結果、インフルだったというのでお願いします。ちなみに!山田くんは病院が嫌いという設定で出来ますか? (2019年9月7日 23時) (レス) id: 2f4d81a89f (このIDを非表示/違反報告)
だぁゆ ぅ(プロフ) - ゆりあさん» 元はなりんかです! ありやまっていいですよね() いえいえ!これからも頑張ってください! (2019年9月7日 17時) (レス) id: 487b9b0d9a (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - はなりんかさん» 良かったです笑 思いっきりありやまさせます!!!← ありがとうございます! (2019年8月24日 10時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2018年7月21日 20時