頑張り屋さん

■： ページ46

side*涼介









自分の体のことだ


おかしいって気づくのに、そう時間はかからなかった




大貴「あと少し。やりきるぞ」


涼介「っ…、おう」




全身の倦怠感と、フツフツと沸くような腹痛


加えて、気道が閉まったように息苦しい。




大貴「お前はしゃべらなくていい。俺に任せろ」




乾燥のせいだろうか。唇がかゆい


内側のモニターを見ると、目に入った自分の顔




涼介「っ……」




顔色、わる。


そのくせそこだけ赤いとか、気味悪いな




大貴「それではVTR、ズドン」




隣でＶ振りの声。なんかくぐもって聞こえるような……ああ、大ちゃんの声だ


意識が朦朧とし始めたみたいで、内容が全く入ってこない。


苦しい、苦しい


まるで自分の世界だけがそこにあるみたいに、グルグルと感情だけが飛び交う




涼介「……っく、」




思わず机に手をつく


……あ、俺イスに座ってんだ




大貴「しっかりしろ。…カメラの上、集中して見てるだけでいいから」




大ちゃんが俺の上から手を重ねた


小さく聞こえたその声に、必死で息を整え直してしがみつく。




涼介「……っは、」




……しってる。


おれ知ってるよ、この感じ


思い出したくなかった、嫌な記憶


間違いない。……あいつだ

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