トモスアカリ3 (ページ10)

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9話　ともりside ページ10

タオがハガネと一緒に教室を出ていったあとをついて行った聡羽たちがいう「タオの万引き」の話でクラスはもちきりだった

するとタオが戻ってきて、一気に教室がシン…と静かになった

聡羽「出てけドロボーっ！！」

私の後ろの席、元いタオの席は机も椅子もひっくり返されて座れなくなっていた。私はというと自分の席にいたのだけど聡羽たちに邪魔だって言われて、変に巻き込まれる前にこっちおいでって真理衣たちが呼んでくれて移動していた

それから黒板も聡羽たちが落書きした「ドロボーは出ていけ！」とか「この学校から消えろ！」とかほんと馬鹿みたいな文面でいっぱいで、そんな聡羽たちは今タオに向かって消しゴムや紙くずを投げたりしている

「「でーてーけ！でーてーけ！」」

「「やめなよ！！」」

我慢できなくなったのかあかりや美奈たちが聡羽たちを止め始めた。私のそばにいる真理衣は面白そうな顔で笑っている

タオはというと下を見て俯いていたけど、ふと顔を上げて自分の席を直していた

―――職員室ＮＯside

作業をしていたハガネの足元に何かぶつけられて、ハガネは顔を上げた

丸められたその紙を見たハガネは「この字…」と呟いた

―――

広「今日の夜ご飯、何がいい？」

「えびふらーい！」「かれーらいすー！」

ハガネ「みんなおかえり！」

「あ！」「はがねだー！」

ハガネ「…広、ちょっといいかな」

2人は近くの公園に、広の妹たちも連れてやってきた

ハガネ「ねぇ広、こんなメモ置いてった子がいるんだけど」

そう言って見せた紙には『万引きしたのはタオではありません』とあった

ハガネ「ねぇ広、勇気を出すのってすごく難しいよね。この人は頑張って正しいことをしようとしたんだけど、ちょっと勇気が足りないの。先生ね？誰かの力になってあげたいのなら、正々堂々と勇気を出して欲しいなって思うよ

な？広！漢じゃん！ほーら！」

次の日ハガネは屋上にタオを呼んでメモを見せた

ハガネ「あなたの事を心配して、そのメモをくれた子がいたの」

タオ「こんなもの、なんの役に立つって言うのよ」

ハガネ「確かにそんなもので貴方への疑いは消えない。でもね？それを書いた子はその子なりに勇気を振り絞ったの。小さな1歩だけど貴方に歩み寄ったの

タオ、貴方はそれにどう答える？」

タオは少し考える素振りを見せた後、紙をぐしゃぐしゃと丸めてグラウンドへと放った

タオ「これ以上私に構わないでよ！」