13話 ＮＯside ページ14
先崎「じゃあ、座って。4年1組担任の先崎です。顔は見たことあるよね」
そういう先崎にタオは黙って頷いた
先崎「今日はどうしてもタオに話しておきたいことがあって、芳賀先生にお願いして来てもらったんだ。
先生な、小さい頃、親の都合で転校ばかりしてたんだ。新しい学校に転入しても、下手に友達なんか作ると別れがつらいから…いつも1人で本読んでた
そういう意味でちゃんと友達が出来たのは大学に入ってからだ。その時初めて、一生付き合える友達ができた。…相手は女だったけどな
そいつサバザバした性格で全然女っぽくないんだけど、いざって時は鋼のような強さで人を応援できるやつだった。喧嘩もよくしたし、馬鹿やったりもした。夢もたくさん語り合った
そういう付き合いをした友達って、ずっと会わなくなっても友達でいられるんだ。それってなぜだと思う？
その友達が、ちゃんと心の中にいるからだよ。
だから先生、クラスメイトに背を向けたこと、すごく後悔してる。別れがどんなにつらくてもちゃんと向き合ってればよかったって。そうすれば、どれだけ離れてても、どれだけ時間が経っても、きっと友達のままでいれたのにって
先生、君に同じ間違いをしてほしくないんだ」
タオ「…話はそれだけですか？…じゃあ、失礼します」
―――愛梨自宅
愛梨母「そっかぁ…そのタオって子、どうしても心を開いてくれないんだ？」
愛梨「時々ね、すごく寂しそうな顔してるの。その顔見てるとつらくなるの。ねぇお母さん、私どうしたらいい？どうしたらタオと仲良くなれる？」
愛梨母「そうねぇ…お母さんだったら、力ずくで振り向かせるかな」
愛梨「例えば？」
愛梨母「まず、手を繋ぐ！相手が嫌がっても強引に」
愛梨「そんなことして嫌われない？」
愛梨母「本当に嫌だったらね？でも手には不思議な力があって、繋ぐだけでも自分の気持ちを相手に伝えられるの」
そう言って母親に握られた自分の手を愛梨は見つめた
愛梨「…あ」
愛梨母「伝わった？」
愛梨「うん！…でもどうしてだろう」
愛梨母「きっと、手の温もりが気持ちを解きほぐしてくれるからじゃないかなぁ」
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作者名：水月 | 作成日時：2022年2月16日 17時
