【d!】とある軍に召喚された件について【コラボ小説】

独白を聞いて ページ32

昨日この場所に来て、すぐに寝たっけ。

朝一番に射を見てもらって、朝ごはんを食べて。

何かの緊急事態で、総統室に連れてかれて。

チーノさんと仲良くなって、エーミール先生と勉強したんだったな。

昼ごはんを食べて…ああ、痛い目にあった。

ゾムさんが助けてくれて、帰ってからしんぺい神さんに怪我を診てもらって。

お茶会でインカムを貰ったけど、スマホは圏外。

兄さんに笛を貰って、トントンさんと正面衝突して。

綺麗な夕日を見たんだ。

あとは、ひとらんさんに迎えに来てもらって、食堂に行って歓迎会。


(あの人達には、普通の一日…なのかな)


俺は、学校に行って部活をするだけの日々を過ごせなくなるなんて、思ってもみなかった。

朝練して、昼食べて、放課後練して、夜食べて。

俺はそれだけで十分だった。

それ以上に望んだことなんて、一度もなかった。

こんな所に来て、俺に何をしろって言うんだ。

言語は分からないし、ひどい目にあうし。

あの人達から離れてしまったら、周りには怖い人ばっかりだし。

(……つかれた…)

膝を抱え込んだ腕に、額を乗せる。

目をつむれば、だんだんと動くのが億劫になる。

グツグツと沸騰する内面とは裏腹に、 体はただ冷静に座っている。

(もう、嫌だっ…)

何もかも、投げ出したい。

これは夢で、目を覚ましたら家に居ました、なんて話でいい。

(なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよ…)

ツラいことだけがあったわけじゃない。…でも。

どうして他のやつじゃないんだ、なんて、考えてしまう。



「こんな所で寝たら体に悪いｿﾞ」

グルッペンさんの声がする。

低い声は、父さんみたいだ。…俺はあんまり、覚えてはないんだけど。

「……」

「…元の場所に帰りたいか」

「……」

「あまり身勝手なことをするなと、よくトントンに叱られるんだ。…本当に来るとは、思ってなかった。…無責任ですまない」

「……いえ」

「身の安全を保証すると言ったが、二度も危険な目にあわせてしまったな。これは我々の落ち度だ」

「……」

「少し、話をしよう。ここには誰も来ない」

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