地雷の奥で燻る ページ31
「……Aさん、私、知っています。あなたがただの捨て子でないこと」
「えっ…」
捨て子というのは、あの人達が俺を保護するために取ってつけた嘘だが…。
「いえ、いいんです。本当のことは言わなくたって、言えないことは分かっていますから」
「いや、あの…」
(近い…！)
女隊士は腕を絡め、艶やかな視線を向けてくる。
きつい甘い匂いがして、クラクラしそうだ。
「でも、私…」
「ちょ、ちょっ、ちょっと待ってください！」
腕を振り払い、二、三歩距離をとる。
それ以上下がることは叶わず、壁に背が当たった。
「どうして…？」
女隊士は小さい歩幅で一歩一歩近づいてくる。
周りを見渡してみると、少し古びているのが分かった。
(暗い…旧館……？)
初めて見た景色は、こんな風にボロかった。
まんまと騙されてついてきたってことか…！
「どうしてもなにも、何するつもりで…」
「……勘違いしないで。…私たちはあなたに興味もないの」
「はあ？急に何言って…」
「あなたのせいよ。私のこの
豹変した態度を隠すでもなく、言葉を続ける。
「女みたいな顔して、男のくせに言い寄ったの？…邪魔で仕方ないのよ。急に出てきて、私の仕事を邪魔しないで」
それからもつらつらと言葉を並べていく女隊士に、殴り掛かりたくなる気持ちをぐっと堪える。
(なんだ。俺は、嫉妬されたのか？…見ず知らずの人に？そんな幼稚な理由で？)
「──ふざっけんなよ」
壁を殴っても、手が痛くなるだけで。
けれどそうでもしないと、彼女を殴ってしまいそうだった。
頭に血が上って、ここが基地だってことなんてとっくに忘れていた。
「ふざけんなよッ！女みたいな顔って、俺だって好きでこんな顔に生まれたんじゃない！
でもっ、俺は、俺の体は、今あるたった一つの"二人"が遺してくれたものなんだよ…っ！
言い寄るだァ？あの人らにそんな事するか！勝手に気持ち悪い想像すんな！」
柄にもなく怒鳴ると、女隊士は口惜しそうに去っていく。
「早く消えて」
それだけを言い残して。
旧館の灯りは消えており、月明かりだけがここを照らしていた。
ズルズルと壁を伝って座り込む。
静まり返った空間は、心做しか責め立ててくるようだった。
(今日は色々ありすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだ…)
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…！ありがとうございます……！まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (
レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…！もっと早くに知っていたら…くそう！無念！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw！めちゃめちゃ応援ありがとうございます！続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません！！ほんまにすみません！！間違って低評価してしまいました！！！ほんまにすみません！！そんなこと一ミリも思っておりません！！応援してます！！もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます！続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lento & こい x他1人 | 作成日時：2019年11月4日 21時
