魔法使いの主役は我々だ！【wrwrd】 (ページ43)

今日:29 hit、昨日:2 hit、合計:68,712 hit

43 ページ43

白い天井、ピッピッという機械音。消毒液のツーンとした匂い。

意識が覚醒してくる感覚と共に劇痛が走る。

「っぐぁ…」

「Aさん！起きたんですか先生呼んできますね！」

金髪の髪の少女がパタパタと急いで出ていった。

そしてそこから数分たったあと急いできたらしいエーミールが現れた。

「紫さんの嘘やなかったんか…」
と呟いたあとひっそりと
「普通ならあと三週間近く意識が回復しないのに幹部勢は人外かなにかなんですかね？」
と言っていた。

今でもだいぶ痛いし、退院するのは随分あとになりそうだけれどもこんなに早く意識が回復するのは可笑しいという訳か。

「ところでゾムはどうした」

今「勢」と言ったことから考えるとゾムは意識が戻っている可能性が高い。そういう事だと信じたい。

「あぁゾムさんなら意識が戻って今はー」

ガラガラという大きな音。扉の開く、その音。

「Aっ！」

緑色に包まれる。ふわりと香る彼の香りに頬が綻ぶ。

「…っゾム…無事でよかったよ」

「それは俺のセリフや！ほんま無事でよかった！と言うかなんで俺の為に命かけんねん！」

彼の緑色の瞳は少し潤んでいた。その姿に意外さと、特別感を感じた。こんな顔をさせてしまったお詫びに理由を言ってやろうか。

「…君が好きだからと言ったら君は驚く？」

少し気恥しいが、そう言って私は笑ってみせる。

目の前には顔を真っ赤に染めて、口をぱくぱくとさせた君がいた。