アイデンティティ4 (ページ10)

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１５８話ページ10

試合はストームウルフのキックオフで再開。相手のキャプテンは時間稼ぎなどという小細工はしない。5点目を奪うために一斉に攻撃を開始する。この辺、ストームウルフはかなり正々堂々としたチームだと思う。守りきれば勝ちという姑息な戦法を取らないのだから。

「さぁ、2点同時ゲット大作戦だ！！真名部くん！」

「…3…4…5…6…今です！！」

「うおおおおおっ！！」

皆帆は傍らの真名部に声をかけ、作戦を実行に移すよう指示する。真名部はいつものように人差し指と親指でアングルを作り、敵選手の動きを見つめる。謎のカウントが進み、それが「6」を刻んだ瞬間、真名部は剣城と瞬木に今こそ実行すべしと指示を出す。

「バイシクルソード！！」

それを受けて猛然と突進を開始した剣城は相手の選手からボールを奪う。その後方には瞬木がピタリと付ける。奪ったその場で剣城は必殺シュート「バイシクルソード」を放つ。ロングシュートながらDFがゴールの前を開けたその瞬間を狙ったピンポイントなシュートだった。

「何っれ？コースががら空きっ！！戻れぇっ！！！」

「残念だけど、君たちの位置では間に合わないよ」

実行させた皆帆は耳をピクピクと動かすクセを見せながら、このシュートに追いつくことは不可能だと、あわててカバーしようとする敵DFの動きを嘲笑う。事実、その通りだった。

「決まったァ！！な、なんとイナズマジャパンが土壇場で一気に2点をとって追いついたァ～！！」