第51話 ヒーロー ページ3
突然、淡い光が時間遡行機付近の地面を照らした。
強い光を放つと、五振りの刀がその光から現れ、地面に倒れ込んだ。
「拙僧が兄弟を運ぼう。骨喰殿には鯰尾殿を頼めるか」
「了解した」
「一番傷が浅いのは……前田だな。前田は俺と医務室に行くぞ。堀川の旦那、二人を頼めるか」
「任せて。平野さん秋田さん、行こう」
四振りは的確な判断を下し、急いで手入れ部屋、医務室まで走っていった。
医務室へ走る薬研が一度振り向き、こう言った。
「鶴丸の旦那ぁ！」
「なんだ」
「……乱を頼む」
そう言って前田を連れて医務室へ向かった。
俺は部隊が帰ってきたので、急いで時間遡行機を弄る。
急げ。一回やったろ。早く、早く！
先程は三分程かかった作業が、今は一分でできた。
気持ちも身体も焦っているのだろう。
時間遡行機付近の地面が淡い光に照らされる。
「……乱、今行くからね」
転送直前に聞いた、長兄の言葉だった。
○
「うああっ！」
どうしよう。
左足を斬られた。中々に深い傷だ。
立とうとしても、すぐにペタンと座り込んでしまう。
足が言うことを聞いてくれない。
既に左腕も使い物にはならないし、体中傷だらけである。
「っ……」
自分が弱くなった時、相手に降伏したくなる。
助けてくれと命乞いしたくなる。
そして……もう、折れてしまえばいいのに、なんて考えてしまう。
今もそうだった。
このまま折れてしまえば、もう痛みなんて感じない。
このまま折れてしまえば、もう戦わなくて済む。
このまま折れてしまえば、あるじさんがいないって事実を、もう受け止めなくていい。
だって、折れるという事はこの世から自分の何もかもが無くなるのだから。
体も、心も、記憶も、思い出も、友情も、全部全部……。
あるじさん、一兄や兄弟達との思い出も……？
「っ……助けて、あるじさぁん……一兄ぃっ……！」
溢れる涙も拭えず、ボクは、大太刀が近づいてくる恐怖を感じながら、折れる瞬間を待つ事しかできなかった。
「吉光の名は、伊達じゃないっ！」
「っ！？」
「大丈夫かい、乱」
たった一撃で敵を倒してしまった。
ああ、格好いいなあ。
ボクも前田達の前では、一兄みたいに
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百翠(プロフ) - みゆさん» わーすみません！！帰宅したら更新と共に訂正したいと思います。ご指摘、応援ありがとうございますー！ (2018年5月3日 8時) (
レス) id: 20166d2150 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 薬研の骨喰君の呼び方、骨兄じゃなくてばみ兄だったと思います！間違ってたらすいません！これからも頑張ってください！ (2018年5月2日 20時) (レス) id: 51fcd1558b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃翠 x他1人 | 作成日時：2017年12月8日 0時
