第66話 緊張 ページ18
審神者部屋は静かで、ガランとしていた。
審神者の部屋なのに、審神者の私物は一つもない。
また、代表者が使用していたにもかかわらず、代表者の私物もない。
否、アンインストール本丸についての本が一冊だけ混ざっていた。
それ以外には、本がびっしり詰まっている複数の本棚と、必要最低限のものしか、この部屋にはない。
初めて会った時と同じように、主は右側、俺は左側のソファに腰をかけた。
沈黙が流れる。それを切り開くのは、俺だった。
「なぜ、呼び捨てじゃないんだい？」
「え？」
主はきょとんと驚いた顔をしていた。
俺もなぜ開口一番それなのか、よくわからなかった。
けれど、感じていた違和感を暴きたいのは確かだ。
「俺がきみに想いを告げた時、既にタメ口だったし、呼び捨てで呼んでくれたじゃないか」
「……久しぶり、だから」
「なぜ」
久しぶりというだけで、初めて会った時のように戻ってしまうのか。
「だって、恥ずかしいじゃないですか。私は約五ヶ月入院しました。ほとんど半年です。……まあ、入院生活の記憶は三ヶ月程しか残っていませんが」
主曰く、入院して二ヶ月経った頃に記憶が抜けてしまったのだとか。
つまり、主の中では付き合ったと思い朝を迎えたら病院のベッドの上だったと。
そして、医師からの説明と日頃からつけていた日記により、状況を理解したのだとか。
その時つけていた日記も見せてもらった。
一枚目に「いつ記憶が無くなるか分かりません。なので、日記をつけようと思います」と書かれていた。
次からは病院での生活と共に、全刀剣男士の情報を書いていたらしい。
どこからどこまでの記憶が無くなるかなんてわからなかったから、と。
まずは新しい記憶から。逆入手順で性格や好きな物を事細かく書いていたという。
俺のところには「貴女の最愛の人です」なんて書かれていた。
「久々に恋仲の貴方に会ったら、緊張して……つい敬語に……」
顔を赤くして主は言う。
俺は、はあーと長いため息を吐き、主の隣に移動した。
「あーもう、ほんときみって可愛いなあ！？」
「わっ！」
主を強く抱きしめる。
そう、この暖かい感じ。懐かしい。
「……鶴丸さんも、緊張してたんですね」
俺の胸に耳を当てている主が、そう呟いた。
うっせ、と言って更に強く抱き締めた
今までの時を埋めるかのように、強く。
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百翠(プロフ) - みゆさん» わーすみません！！帰宅したら更新と共に訂正したいと思います。ご指摘、応援ありがとうございますー！ (2018年5月3日 8時) (
レス) id: 20166d2150 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 薬研の骨喰君の呼び方、骨兄じゃなくてばみ兄だったと思います！間違ってたらすいません！これからも頑張ってください！ (2018年5月2日 20時) (レス) id: 51fcd1558b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃翠 x他1人 | 作成日時：2017年12月8日 0時
