第60話 髭切の告白 ページ12
また、一月過ぎた。
アンインストールから三ヶ月。
主はまだ帰ってこない。
七月の暑い日。
縁側でうちわを扇ぎ、暑さを
「しっかし、慣れとは怖いな」
「何に慣れたって？」
「うお、髭切！？」
同じくうちわを扇いでいる髭切。
突然背後に来られると驚くんだが。
「きみ、わざと気配消したろ」
「はは。どうだ驚いたかー」
「ああ、驚いた」
隣に座り、髭切は話し出す。
「ねえ」
「ん？」
「三ヶ月経ったね。そして制限時間も、残り三ヶ月」
「……ああ」
「雀丸」
「鶴丸な」
「主は、帰ってくると思うかい？」
ボケか天然か分からないが、とりあえずツッコミを入れた瞬間、鋭い目で見つめてくる。
目だけで鬼を、妖を切ってしまいそうな、刀のような鋭い目。
無意識に、うちわを扇ぐ手が止められた。
「……俺は信じると決めた。だから、帰ってくると思う」
「うん、君ならそう言うと思ったよ」
優しそうな笑みだった。
彼はまたうちわを扇ぎだし、ご機嫌そうに言う。
「その言葉が、願望で終わらなければいいね」
「そうだな」
「ねえズル丸」
「おしい、鶴丸な」
「僕さ、主のこと好きなんだあ」
あまりにも普通に言い切るもんだから。
世間話のように、あっさりと言ってしまうもんだから。
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
ただ、俺の口からは喉が飲み込んだ息のひゅっという音がした。
「でも、彼女は君といるから美しい。皆のものだけど、それは ”審神者" だからであって、"女" である彼女は君のもの。そんな彼女が美しくて、愛おしい」
「……つまり？」
髭切は口角を上げ、にいっと笑った。
不気味なような、暖かさを含んでいるような。
その笑みの真意を理解することはできなかった。
「きっと主の幸せが、僕は好きなんだろうなと思って。僕にとっての彼女は、君という存在がいてこその彼女なんだって」
「はあ……」
「ま、要するにさ」
髭切は立ち上がって、廊下を歩みだした。
数歩歩いて振り返り、にこっと笑う。
「主が帰ってきたら、ちゃんと幸せにしてあげてねってこと」
一人になった俺はポツリと呟く。
「言われなくてもわかってら」
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百翠(プロフ) - みゆさん» わーすみません！！帰宅したら更新と共に訂正したいと思います。ご指摘、応援ありがとうございますー！ (2018年5月3日 8時) (
レス) id: 20166d2150 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 薬研の骨喰君の呼び方、骨兄じゃなくてばみ兄だったと思います！間違ってたらすいません！これからも頑張ってください！ (2018年5月2日 20時) (レス) id: 51fcd1558b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃翠 x他1人 | 作成日時：2017年12月8日 0時
